日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

タグ:言語変種

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研究社 日本語教育事典 

アクセス解析の検索キーワードを見ていたら、
『位相語と方言 違い』
というフレーズで当サイトに辿り着いた方が何人かおられました。
しかしながら私の記憶が確かであれば、位相語と方言の違いを説明したことはなかったと思いますので、他の似ている言葉と合わせて、ここであらためて解説したいと思います。


方言とは、話し手の属性による言語変種。地域方言社会方言があるが、一般的には地域方言を指す(研究社日本語教育事典130頁L)。

地域方言とは、地域差に基づく言語変種(研究社日本語教育事典130頁R)。

社会方言とは、年齢、性差(gender)、職業、階級など社会的な属性に基づく言語変種(研究社日本語教育事典130頁R)。
例…幼児語、若者言葉、老人語、

集団語とは、ある集団の特徴的な言葉。専門用語や隠語(研究社日本語教育事典130頁R)。
例…警察用語で犯人のことをホシと言う。

役割語とは、「そうじゃ、ワシは天才なんじゃ(老博士言葉)」「よろしくってよ(お嬢様言葉)」「違うアル(中国人言葉)」など、特定の人物像に結びつく話し方。実在の博士、お嬢様、中国人がそのような喋り方をしているとは限らない。ステレオタイプの一種。

位相とは、性別や年齢等の属性の違い、職業、地域等の所属の違い、話し言葉と書き言葉等の使用条件の違い、対話している状況や相手等の使用環境の違い等、様々な要因によって用いる言葉が異なること。位相の違いによって変わる語を位相語という(研究社日本語教育事典210頁R)。
性別の違いによる位相語の例…男:「おれ」「めし」、女:「わたし」「ごはん」
職業の違いによる位相語の例(集団語)…医者:「オペ」、警察「ホシ」
年齢の違いによる位相差の例(社会方言)…若者言葉:「マジきもい」
地域の違いによる位相語(地域方言

ということは、位相語は、方言を含めたより広い言葉の違いを意味する語といえそうですが、位相語に地域方言を含めない学者もいるようです↓

『田中(1999:9-10)は、位相を社会的位相(性別、世代、身分、職業、社会集団等によるもの)、様式的位相(文体、伝達様式、話し言葉と書き言葉、場面や相手等の差異によるもの)、心理的位相(忌避、美化、仲間意識、対人意識等の心理によるもの)の3つの観点から捉え、これらが重層的に作用して位相差がもたらされると述べている。但し、田中は方言のような地域差や、明治時代語のような時代差は位相に含めていない』(研究社日本語教育事典210頁R、211頁Lより)

つまり、社会方言は位相語に含まれるが、地域方言は位相語に含める人と、位相語に含めない人がいる、ということのようです。

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言語変種(バラエティ)は、平成26年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの問題13
言語変異(言語的変異)(バリエーション)は、平成26年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの問題12の問3
にそれぞれ出題されていますが、紛らわしいので要注意です。

英語で考えてみますと、
varietyは、いろいろな種類(多様性)があることを強調した意味です。
variationは、変化を強調した意味です。 

言語変種(バラエティ)とは、地域や社会的属性の差によって、言語が多様な現れ方をすること。なお、男女差・階層差・職業差・教育差など社会的な属性に対応した異なる言語体系を社会方言(位相語)と呼ぶ。
例… 方言、レジスター、スタイル(文体)など。
言語変異(バリエーション)とは、意味や機能を同じくする複数の異なる言語形式。
例…音声的変異:ガ行子音の鼻音と非鼻音
  文法的変異:「見られる」と「見れる」(ら抜き言葉)

つまり、ある言語内の同じ意味を持つ異なる言葉について、様々な種類が存在するという観点では言語変種(バラエティ)と呼び、言葉が変化したという観点では言語変異(バリエーション)と呼ぶようです。

言語変異(language variation)と言語変種(language varieties)の詳しい説明は、研究社日本語教育事典の122頁123頁にあります。

 

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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題13は【言葉の性差】です。

問1
話し手の性別による言語変種(バラエティについては、アルクの『日本語教育能力検定試験に合格するための社会言語学10』の37頁に詳しく載っています。

 
接続詞、指示代名詞、取り立て詞の性別による違いは思いつきませんが、終助詞ならたくさん思いつきます。
例…「だぜ」「だぞ」「わよ」「なの」「かしら」
よって、正解は4です。


問2
「性差を固定する表現」が見直された例も、『日本語教育能力検定試験に合格するための社会言語学10』に詳しく載っています。
看護が看護に見直されたので、正解は1です。


問3
性別が関係するのは、2と3ですが、3は苗字の問題なので、正解は2の男女雇用機会均等法の制定です。


問4 政治的に正しい表現を選ぶ問題です。
ポリティカル・コレクトネス(political correctness)についても、『日本語教育能力検定試験に合格するための社会言語学10』の34頁に詳しい説明があります。
2,「後進国」という言葉は侮蔑的なので、「発展途上国」が使われるようになりました。しかしながら、『日本語教育能力検定試験に合格するための社会言語学10』では、発展途上国という言葉も、「先進国」からの一方的な見方ではないかと批判されています(93頁)。
正解は2です。


問5 男女の役割を固定化しないよう配慮するという観点から不適当な指導の例を選ぶ問題です。
1,彼の料理が上手くても、男女の役割を固定化することにはなりません。
2,男性とは異なる女子の話し方を指導することで、役割を固定化しています。
3,画家、弁護士といえば男性が多いですが、あえて女性を使うことで、男女の役割が固定化しないよう配慮しています。
4,性差によるバリエーション(言語変異)を提示するだけでは、固定化することにはなりません。
よって、正解は2です。



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