日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

タグ:補償ストラテジー

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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11は【言語理解の過程】です。

問3「トップダウン処理」がより必要とされる「スキャニング」の読み方に関する問題です。
スキャニングとは、自分にとって必要な情報のみを拾い出す読み方です。
よって、正解は3です。
なお、スキミングでは、段落ごとのトピックセンテンスのみを読む読み方や全体をざっと読み大意をとる読み方をします。


問4
でました。学習ストラテジーに関する問題。毎年出題されていますので、各用語の意味を正確に理解しておく必要があります。

1,認知ストラテジーは、学習する方法です。
例…認知ストラテジーの意味が分からないのでグーグル先生に訊ねよう。

2,間接ストラテジーは、学習を間接的に支え、習得のための条件を整えます。メタ認知ストラテジー、情意ストラテジー、社会的ストラテジーがあります。

3,メタ認知ストラテジーは、学習を管理する手段です。
例…一週間で一年ずつ過去問を解くぞ!

4,補償ストラテジーは、知識不足を補う手段です。
例…補償ストラテジーという単語の意味はわからないけれど、選択肢1から3が当てはまらないのは分かるので、正解は4の補償ストラテジーだな。

以上より、正解は4です。
 

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平成23年度 日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11の問2
平成24年度 日本語教育能力検定試験Ⅲの問題10
平成25年度 日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11の問4
平成26年度 日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11の問3

平成27年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10の問5

以上のとおり、学習ストラテジー(学習方略)に関連する問題は毎年出題されていますので、学習ストラテジーの意味を理解することは非常に重要です。

ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』では261頁に説明があります。

学習ストラテジーの分類
学習ストラテジーには2つの種類があります。
言語学習ストラテジー言語学習に用いる。
コミュニケーション・ストラテジーコミュニケーションを成立させるために用いる。


言語学習ストラテジーは、オックスフォードの分類によると、6つの種類に分けられます。

○直接ストラテジー…学習に直接関わる。
1,記憶ストラテジー…語彙や文法を覚える手段。情報の想起が重要となるもの。
例…年号を語呂合わせで覚える
  日本語と母語の似ている部分を結びつけて覚える
  単語カードを使ってキーワードを覚える(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験 合格問題集第2版』150頁(以下、ヒューマン問題集という))。
  授業で学んだ文型や表現を、翌日に必ず大学の図書館で復習をして暗記する(アルク『増補版 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集』199頁(以下、アルク問題集という))。

2,認知ストラテジー…学習する方法。自分に理解しやすいよう分析したりする。
例…メモを取る。
  重要な語に線を引く。
  知らない語を辞書で調べる。
  長い文章を書くときは、まず母語で文を作りそれを日本語に訳して作文する(アルク問題集)。

3,補償ストラテジー…知識不足を補う手段。
例…未習語の意味を文脈から推測。
  「切手」を「はがきや封筒に貼る小さな紙」のようにほかの言葉で表現する(アルク問題集)。
  身振り手振りで表現するなどの非言語行動で補う(ヒューマン問題集)。


○間接ストラテジー…学習を間接的に支え、習得のための条件を整える。
4,メタ認知ストラテジー…学習を管理する手段。学習者自身が学習を計画し、評価する。
例…目標を決めて授業にのぞむ。
  予習して授業にのぞむ。
  学習目標と達成期限を設定する。
  効果的な勉強法や教材に関する情報を収集する。
  スピーチ本番の前に録音して、出来をチェックする。
  書いた文章を自分で読み返して、間違いを修正する。
  自分なりに学習計画を立て、学習の進み具合やその効果を適宜チェックする(アルク問題集)。

5,情意ストラテジー…情意面を調整する手段。
例…自分を褒める。
  クラシックを聞いてリラックスする。

6,社会的ストラテジー…学習に関して他者と関わる。
例…分からないところを先生や友達に尋ねる。
  成績の良い同級生からアドバイスをもらう。 
  聞き手の反応に配慮する。
  日本語だけでなく日本の社会や文化についても吸収するよう努力する。


尹智鉉『日本語学習者の第二言語習得と学習ストラテジー』は、各学習ストラテジーの意味と具体例が記載されていますので、とても参考になります。

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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11は【米国で英語を母語として生まれ育ったスミスさん、日本の大学で学ぶ】です。

問1
文化相対論では、文化に優劣はないと考えます。
よって、4が正解です。

一方、自身の属する文化の価値を基準に、他の文化を判断することをエスノセントリズム(自文化中心主義、自民族中心主義)といいます。
エスノセントリズムのうち、
異文化に対して自文化優位の意識を伴ったものを強いエスノセントリズム
異文化に対して自文化優位の意識を伴わないものを弱いエスノセントリズム
といいます(増補版 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集 237頁)。


問2
エポケーとは、判断を留保することです。決めつけないことです。
1,判断してます。
2,判断してます。
3,相手の言ったことを繰り返しているだけなので、判断していません。まさにエポケーの手口です。相手の言うことを繰り返すことで、相手は自分の気持を整理できるらしいです。
4,共感という気持ちを示してますので、判断を留保していません。
よって、3です。


問3 言語学習ストラテジーのうち、メタ認知ストラテジーの例を選ぶ問題です。
学習ストラテジーについては、ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』261頁に詳しい説明があります。
学習ストラテジーは、毎年のように出題されていますので、超重要キーワードです。関連する知識を確実に理解しておく必要があります。
平成23年度 日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11の問2
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題10
平成27年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10の問5

学習ストラテジーは以下の2つに分けられます。
言語学習ストラテジー言語学習に用いる。
コミュニケーションストラテジーコミュニケーションを成立させるために用いる。

言語学習ストラテジーは、以下の6つに分けられます。

○直接ストラテジー…学習に直接関わる。
1,記憶ストラテジー…語彙や文法を覚える手段
例…年号を語呂合わせで覚える。
  日本語と母語の似ている部分を結びつけて覚える。
2,認知ストラテジー…学習する方法
例…メモを取る。
  重要な語に線を引く。
  知らない語を辞書で調べる。
3,補償ストラテジー…知識不足を補う手段。
例…未習語の意味を文脈から推測。

○間接ストラテジー…学習を間接的に支え、習得のための条件を整える。
4,メタ認知ストラテジー…学習を管理する手段。
例…目標を決めて授業にのぞむ。
  予習して授業にのぞむ。
  学習目標と達成期限を設定する。
  効果的な勉強法や教材に関する情報を収集する。
  スピーチ本番の前に録音して、出来をチェックする。
  書いた文章を自分で読み返して、間違いを修正する(復習)。
5,情意ストラテジー…情意面を調整する手段。
例…自分を褒める。
  クラシック音楽を聞いてリラックスする。
6,社会的ストラテジー…学習に関して他者と関わる。
例…分からないところを先生や友達に尋ねる。
  成績の良い同級生からアドバイスをもらう。 
  聞き手の反応に配慮する。
  日本語だけでなく日本の社会や文化についても吸収するよう努力する。


選択肢1は、相手に確認しているので、社会的ストラテジーです。
選択肢2は、自分を褒めているので、情意ストラテジーです。
選択肢3は、日本語と母語を対照し、類似点や相違点を分析するという学習方法なので、認知ストラテジーです。
選択肢4は、誤りの原因を考え、なくすように学習を管理しているので、メタ認知ストラテジーです。

以上より、正解は4です。



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平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10は【第二言語発達】です。

問1 
処理可能性理論(Processability Theory) では、語、句、文と言語単位の小さなものから順に自動化処理が発達するとしています。
よって、正解は4です。


問2
言語適性には、「音声認識力」「言語分析力」「記憶力」という三つの側面があります。
2,言葉の使用例から規則性を抽出する能力は、言語分析力です。
よって、正解は2です。 


問3 ビリーフに関する記述として不適当なものを選ぶ問題です。
1,好きなことと得意なことは異なる場合があるように、ビリーフ(信条)に沿った方法で学んだからといって、効率よく学べるとは限りません。なお、学習者のビリーフ(信条)によって学習効果に差は出ます。
よって、正解は1です。
なお、平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ 問題5の選択肢2がとても似ていますので比較してみると面白いです。予備校の解答速報では、本問の答えは、1か4で割れたらしいですが、平成23年度では選択肢2が不適当である(と公式が発表している)ことを知っていれば、本問でも選択肢1が不適当だと自信を持っていえたのではないでしょうか。やはり過去問は大事ですね。


問4
適正処遇交互作用とは、学習者の適性と処遇(教師の指導法)が互いに影響を与え、学習効果に差が出ることです。
よって、正解は3です。


問5
学習ストラテジーで出題されています。
補償ストラテジーとは、言語知識の不足を補うためのストラテジーです。
1,目標言語を話すために友達を作るのは、社会的ストラテジーです。
2,知らない語の意味を文脈から推測するのは、補償ストラテジーです。
3,音楽を使ってリラックスするのは、情意ストラテジーです。
4,目標言語を母語と対照して分析するのは、認知ストラテジーです。
よって、正解は2です。


 

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平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題10は【学習ストラテジー】です。
オックスフォードの6分類ではなく、オマリーシャモーの三分類に関する問題なので注意が必要です。

問1
オマリーシャモーの分類によると、
認知ストラテジーとは、入ってくる情報に直接作用し、学習を促進するよう制御するストラテジー。例としては、練習、分類、推測、要約などがある。
メタ認知ストラテジーとは、学習者が学習を計画し、モニター(学習する内容がどのようなものであるか観察)し、評価するストラテジー。認知の過程に働きかける(自らの認知作用をコントロールする)。
社会情意的ストラテジーとは、他者とのインターアクション(やり取り)や情意的要素を制御するストラテジー。他者との協力、明確にするための質問などが含まれる。
(『第二言語学習と個別性: ことばを学ぶ一人ひとりを理解する』109頁110頁より)



 以上より、
1は、メタ認知ストラテジーです。
2は、他者に協力を求めているので、社会情意的ストラテジーです。
3は、特定の課題を達成する(学習を促進する)ため、学習素材を学習者自身が操作(入ってくる情報を直接作用)しているので、認知ストラテジーです。
4は、情意的要素を制御しているので、社会情意的ストラテジーです。
よって、正解は3です。 


問2
1、言い換え(パラフレーズ)は、コミュニケーション・ストラテジーです。
2、聞き返すのは、コミュニケーション・ストラテジー(リペア)です。
3、文脈から推測するのは認知ストラテジーです(オックスフォードの分類では補償ストラテジー)。
4、事前に質問に目を通し読み取るべきことを知るのは、学習する内容がどのようなものであるか観察(モニター)しているといえるので、メタ認知ストラテジーです。
よって、正解は4です。


問3
1,他者に協力を求めているので、社会情意的ストラテジーです。
2,ジェスチャーを使うのは、コミュニケーション・ストラテジーです。
3,知らない語があっても無視するのは、認知ストラテジーです(オックスフォードの分類では補償ストラテジー)。
4,モニターし、読み返すのはメタ認知ストラテジーです。
よって、正解は1です。


問4
1,トップダウン処理だって大事でしょう。
2,どうやって未修語の意味を推測したか話し合うことは、認知ストラテジー(オックスフォードの分類では補償ストラテジー)のトレーニングになります。
3,有効なストラテジーを知り、自分が使っているか確認することは、ストラテジー・トレニーングになります。
4,内容を予測させるのは、認知ストラテジーのトレーニングになります。
よって、正解は1です。


問5
コミュニケーション・ストラテジーとは、コミュニケーション上の様々な障害を乗り越えるため使用する方略です。
1,コミュニケーション・ストラテジーでは、該当する言葉が分からないとき部分的に母語を使います(言語交換)ので、中間言語に関する学習者の仮説検証に貢献し、言語習得に有利に働きます。
なお、中間言語とは、目標言語でも母語でもない中間的な言語のことです。

2,コミュニケーション・ストラテジーでは、言われたことがわからないとき、繰り返しを要求したり、わかった部分だけ自分で繰り返し、相手に確認を求めます(リペア)ので、理解できなかったインプットが理解可能になり、言語習得に有利に働きます。

3,わからない言語表現を避ける(回避)のも、コミュニケーション・ストラテジーのひとつです。しかし、わからない表現を避けてばかりいるのは言語習得に有利に働きません。

4,コミュニケーション上の障害を乗り越えることで、意味交渉に参加する機会が増え、言語習得に有利に働きます。

よって、正解は3です。

 

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