日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

タグ:社会方言

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題11は、【方言と言葉の変種】です。

問1
1,階層方言という言い方はあるのでしょうか。初めて見ました。
2,社会方言については、 位相語と方言の違いをご参照ください。
3,4,ネオ方言と新方言については、ネオ方言と新方言の違いをご参照ください。 

年齢や性差などの観点から言葉の差異を捉えたのは、社会方言と思料しますので、正解は2です。


問2 「若者言葉」を使用する目的に関する問題です。
3,逆ではないでしょうか。理性よりも感覚に訴えるため。
よって、3が正解であると思料します。


問3
日本語教育能力検定試験には大好きなキーワードがいくつかありますが、そのうちの一つがダイクシスで繰り返し繰り返し問われています。
ダイクシス(直示)とは、発話された場面によって意味が決まるもの。
詳しくは、 平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題4【直示(deixis)】をご参照ください。

よって、正解は1です。


問4「隠語」の例を選ぶ問題です。
2,「犯人」を意味する「ホシ」は刑事ドラマでも有名です。
2が正解です。


問5「特定の人物像を想起させる言葉」(役割語)の例を選ぶ問題です。
1,「わがはい」は知的階級の男性を想起させます。なのに、実際は猫であるというギャップが『吾輩は猫である』の面白さかと存じます。
正解は1です。

 

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研究社 日本語教育事典 

アクセス解析の検索キーワードを見ていたら、
『位相語と方言 違い』
というフレーズで当サイトに辿り着いた方が何人かおられました。
しかしながら私の記憶が確かであれば、位相語と方言の違いを説明したことはなかったと思いますので、他の似ている言葉と合わせて、ここであらためて解説したいと思います。


方言とは、話し手の属性による言語変種。地域方言社会方言があるが、一般的には地域方言を指す(研究社日本語教育事典130頁L)。

地域方言とは、地域差に基づく言語変種(研究社日本語教育事典130頁R)。

社会方言とは、年齢、性差(gender)、職業、階級など社会的な属性に基づく言語変種(研究社日本語教育事典130頁R)。
例…幼児語、若者言葉、老人語、

集団語とは、ある集団の特徴的な言葉。専門用語や隠語(研究社日本語教育事典130頁R)。
例…警察用語で犯人のことをホシと言う。

役割語とは、「そうじゃ、ワシは天才なんじゃ(老博士言葉)」「よろしくってよ(お嬢様言葉)」「違うアル(中国人言葉)」など、特定の人物像に結びつく話し方。実在の博士、お嬢様、中国人がそのような喋り方をしているとは限らない。ステレオタイプの一種。

位相とは、性別や年齢等の属性の違い、職業、地域等の所属の違い、話し言葉と書き言葉等の使用条件の違い、対話している状況や相手等の使用環境の違い等、様々な要因によって用いる言葉が異なること。位相の違いによって変わる語を位相語という(研究社日本語教育事典210頁R)。
性別の違いによる位相語の例…男:「おれ」「めし」、女:「わたし」「ごはん」
職業の違いによる位相語の例(集団語)…医者:「オペ」、警察「ホシ」
年齢の違いによる位相差の例(社会方言)…若者言葉:「マジきもい」
地域の違いによる位相語(地域方言

ということは、位相語は、方言を含めたより広い言葉の違いを意味する語といえそうですが、位相語に地域方言を含めない学者もいるようです↓

『田中(1999:9-10)は、位相を社会的位相(性別、世代、身分、職業、社会集団等によるもの)、様式的位相(文体、伝達様式、話し言葉と書き言葉、場面や相手等の差異によるもの)、心理的位相(忌避、美化、仲間意識、対人意識等の心理によるもの)の3つの観点から捉え、これらが重層的に作用して位相差がもたらされると述べている。但し、田中は方言のような地域差や、明治時代語のような時代差は位相に含めていない』(研究社日本語教育事典210頁R、211頁Lより)

つまり、社会方言は位相語に含まれるが、地域方言は位相語に含める人と、位相語に含めない人がいる、ということのようです。

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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題11は【言語には話し手の属性を伝える機能がある】です。

問1
共通語化に向けた変化の度合いは、女性の方が比較的高いらしいので、正解は2です。


問2 
トラッドギルが提唱する、言葉の「顕在的権威」と「潜在的権威」のうち、潜在的権威に関する問題です。
潜在的とは「表面に現れないで内部に隠れて存在しているさま(大辞林)」
ということは、表面上は権威じゃないということなので、空欄(ア)は、「低く」が入ることが分かります。そして、例えば、若者が悪ぶって社会的地位が低い言葉を使うのは意識的だと思ったので、1が正解だと考えたのですが、公式の正解は3です。理由は分かりません。


問3
菊沢といえば位相論研究なので、正解は1です。
1,位相とは、性別、年齢、職業など、社会集団の違いや場面の相違に応じて言葉の違いが現れる現象(大辞林)。
2,方言周圏論とは、柳田国男が「蝸牛考」で唱えた、方言語彙の地理的分布の成因に関する学説(大辞林)。
3,社会方言とは、ある社会的集団に固有な諸特徴を持つ方言(大辞林)。
4,世相語とは、世相や風俗を反映した言葉。新語・流行語・若者語など。


問4
現代日本語では階層差が希薄になっていますので、正解は2です。


問5
国立国語研究所のウェブサイトを見ると、国立国語研究所は「国語及び国民の言語生活に関する科学的な調査研究を行い,あわせて国語の合理化の確実な基礎を築くための事業を行う機関として設置され」とありますので、正解は2です。


問6
3,警察用語など隠語志向に基づく集団語もあれば、漁師用語など仲間意識を高めるために使われる用語もあります。
よって、正解は3です。

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言語変種(バラエティ)は、平成26年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの問題13
言語変異(言語的変異)(バリエーション)は、平成26年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの問題12の問3
にそれぞれ出題されていますが、紛らわしいので要注意です。

英語で考えてみますと、
varietyは、いろいろな種類(多様性)があることを強調した意味です。
variationは、変化を強調した意味です。 

言語変種(バラエティ)とは、地域や社会的属性の差によって、言語が多様な現れ方をすること。なお、男女差・階層差・職業差・教育差など社会的な属性に対応した異なる言語体系を社会方言(位相語)と呼ぶ。
例… 方言、レジスター、スタイル(文体)など。
言語変異(バリエーション)とは、意味や機能を同じくする複数の異なる言語形式。
例…音声的変異:ガ行子音の鼻音と非鼻音
  文法的変異:「見られる」と「見れる」(ら抜き言葉)

つまり、ある言語内の同じ意味を持つ異なる言葉について、様々な種類が存在するという観点では言語変種(バラエティ)と呼び、言葉が変化したという観点では言語変異(バリエーション)と呼ぶようです。

言語変異(language variation)と言語変種(language varieties)の詳しい説明は、研究社日本語教育事典の122頁123頁にあります。

 

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