先日、日本語教師実習コースが終わり、4月から働く日本語学校も決まった。
あとは日本語教師デビューに向けての準備ということで、日本語教師実習コースでお世話になったベテランの先生に私は訊ねた。
「新人日本語教師におすすめの本を一冊教えてください」
ベテランの先生は即答した。
「大関先生が書かれている日本語を教えるための第二言語習得論入門ですね」
家に帰った私はさっそく、大関宏美著日本語を教えるための第二言語習得論入門を入手した。
読んだ。
懐かしさに、頬が緩んだ。
日本語を教えるための第二言語習得論入門を読んだのは初めてだ。
なのにノスタルジーを感じたのは、日本語を教えるための第二言語習得論入門に日本語教育能力検定試験で勉強したことが頻繁に登場したからである。
日本語教育能力検定試験問題のネタ本かと疑うくらい、
「あーこれ試験で見たぞ」
という単語、文章が散見されたのだ。
アウトプット仮説、イマージョン・プログラム、インターフェイス、インテイク、インプット、エラー、オーディオリンガルメソッド、外発的動機づけ、内発的動機づけ、統合的動機づけ、道具的動機づけ、学習スタイル、学習ストラテジー、肯定証拠、否定証拠、強制アウトプット、グローバルエラー、コミュニケーション・ストラテジー、敷居仮説、自動化モデル、情意フィルター仮説、正の転移、負の転移、ティーチャートーク、中間言語、直接法、同時バイリンガル、ノン・インターフェース、発達相互依存仮説、場独立、場依存、肯定的フィードバック、否定的フィードバック、プロンプト、リキャスト、ワーキング・メモリーなどなど。
ほとんどのページが日本語教育能力検定試験に直結していて、
「あー試験前にこの本を読んでいれば、もっと理解が深まった状態で試験に臨めたのになあ」
と私は読みながら歯ぎしりしていた。
しかもこの本はもともと
日本語教育能力検定試験対策向けの本ではなく、
日本語教師にとって必要な第二言語習得の考え方をやさしく解説した本だから、
実際に日本語を教えるときにどう役立つのかという観点から日本語教育能力検定試験の勉強ができるすぐれものなのだ。
各章の終わりには練習問題もあり、本で学んだことを実際の授業に活かす方法を考えるきっかけになる。
さらに、だ。
第二言語習得論というのは日本語教育にだけ役立つものではない。
日本人にとっての外国語、英語などの勉強にも役立つのが第二言語習得論なのである!
日本語教育能力検定試験対策に最適で、
新人日本語教師が授業を組み立てる際の参考書になり、
英語などの外国語を学ぶ際にも役立つという、
一石三鳥の本なのだ。
世の中にはまだまだ素晴らしい本がたくさんあるんですねえ。
己の無知を恥じました。
以下、目次を引用。
第1章 第二言語習得論とは
第2章 中間言語:学習者独自の言語体系
第3章 学習者の母語は第二言語習得にどう影響するか
第4章 習得には決まった順序があるのか
第5章 必要なのはインプットかアウトプットか
第6章 文法を教えることに効果はあるのか
第7章 教室で何ができるのか
第8章 言語習得に及ぼす年齢の影響
第9章 言語習得に及ぼす個人差の影響(1)
第10章 言語習得に及ぼす個人差の影響(2)
第11章 まとめ:教室で私たちにできること
日本語を教えるための第二言語習得論入門
日本語教育に関するブログ にほんブログ村
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの解説 問題7
Sponsored Link