日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

タグ:リキャスト

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先日、日本語教師実習コースが終わり、4月から働く日本語学校も決まった。
あとは日本語教師デビューに向けての準備ということで、日本語教師実習コースでお世話になったベテランの先生に私は訊ねた。
「新人日本語教師におすすめの本を一冊教えてください」
ベテランの先生は即答した。
「大関先生が書かれている日本語を教えるための第二言語習得論入門ですね」
家に帰った私はさっそく、大関宏美著日本語を教えるための第二言語習得論入門を入手した。
読んだ。
懐かしさに、頬が緩んだ。
日本語を教えるための第二言語習得論入門を読んだのは初めてだ。
なのにノスタルジーを感じたのは、日本語を教えるための第二言語習得論入門に日本語教育能力検定試験で勉強したことが頻繁に登場したからである。
日本語教育能力検定試験問題のネタ本かと疑うくらい、
「あーこれ試験で見たぞ」
という単語、文章が散見されたのだ。
アウトプット仮説、イマージョン・プログラム、インターフェイス、インテイク、インプット、エラー、オーディオリンガルメソッド、外発的動機づけ、内発的動機づけ、統合的動機づけ、道具的動機づけ、学習スタイル、学習ストラテジー、肯定証拠、否定証拠、強制アウトプット、グローバルエラー、コミュニケーション・ストラテジー、敷居仮説、自動化モデル、情意フィルター仮説、正の転移、負の転移、ティーチャートーク、中間言語、直接法、同時バイリンガル、ノン・インターフェース、発達相互依存仮説、場独立、場依存、肯定的フィードバック、否定的フィードバック、プロンプト、リキャスト、ワーキング・メモリーなどなど。

ほとんどのページが日本語教育能力検定試験に直結していて、
「あー試験前にこの本を読んでいれば、もっと理解が深まった状態で試験に臨めたのになあ」
と私は読みながら歯ぎしりしていた。
しかもこの本はもともと
日本語教育能力検定試験対策向けの本ではなく、
日本語教師にとって必要な第二言語習得の考え方をやさしく解説した本だから、
実際に日本語を教えるときにどう役立つのかという観点から日本語教育能力検定試験の勉強ができるすぐれものなのだ。
各章の終わりには練習問題もあり、本で学んだことを実際の授業に活かす方法を考えるきっかけになる。

さらに、だ。

第二言語習得論というのは日本語教育にだけ役立つものではない。
日本人にとっての外国語、英語などの勉強にも役立つのが第二言語習得論なのである!

日本語教育能力検定試験対策に最適で、
新人日本語教師が授業を組み立てる際の参考書になり、
英語などの外国語を学ぶ際にも役立つという、
一石三鳥の本なのだ。

世の中にはまだまだ素晴らしい本がたくさんあるんですねえ。
己の無知を恥じました。
以下、目次を引用。

第1章 第二言語習得論とは
第2章 中間言語:学習者独自の言語体系
第3章 学習者の母語は第二言語習得にどう影響するか
第4章 習得には決まった順序があるのか
第5章 必要なのはインプットかアウトプットか
第6章 文法を教えることに効果はあるのか
第7章 教室で何ができるのか
第8章 言語習得に及ぼす年齢の影響
第9章 言語習得に及ぼす個人差の影響(1)
第10章 言語習得に及ぼす個人差の影響(2)
第11章 まとめ:教室で私たちにできること


  日本語を教えるための第二言語習得論入門

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どこよりも早い解説付き解答速報
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10は、【第二言語習得】です。

問1
臨界期仮説は、言語習得には臨界期(クリティカル・ピリオド)が存在するという仮説で、言語習得が容易になされる時期は、生後から思春期までの間とする(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』262頁)。 

よって、4が正解です。


問2「フィードバック」の一種である「リキャスト」に関する問題です。
リキャストは、誤りを明示的に示さずに正しく言い直すフィードバック。自然なコミュニケーションの流れを止めないため、コミュニカティブな教室では最も使いやすいフィードバック。フォーカス・オン・フォームの一つの方法(日本語教育能力検定試験に合格するための用語集95頁)。

よって、 2が正解です。


問3
ブルックリンあおぞら学園のウェブサイトによると、
バイリテラルとは、二言語をただ理解するだけではなく、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4領域すべてで両言語が同等にしっかり出来る事を意味します。

よって1が正解です。


問4
敷居仮説(Thresholds Theory)は、バイリンガリズムの程度と認知との関係をまとめた理論(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』(以下、ガイド本といいます)272頁。ガイド本273頁にわかりやすい図があります)。
平成25年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの解説 問題8の問5にも敷居仮説は登場しています。

二言語基底共有説(氷山説)は、バイリンガリズムを2つの氷山に例え、2つの言語は表面的には異なっていても、両言語とも同じ処理システムを通じて機能しているとみなす。話すこと、聞くこと、読むこと、書くことをともなう思考は同じ中央の装置からきており、2つ以上の言語を持つ場合でも、統合された思考の源が1つ存在すると考える(ガイド本272頁)。

日本語教育能力検定試験に合格するための用語集(以下、用語集といいます)101頁によると、
生活言語能力(BICS)は、日常的な生活のコミュニケーションに必要な言語能力。1〜2年で身につく。
学習言語能力(CALP)は、学習に必要な言語能力。読み書きや複雑なディスカッションにかかわる言語能力。年齢相応のレベルに達するのに5〜6年かかる。

以上の知識をもとに検討します。
問題文は、母語と第二言語の言語能力について説明しているので、(ア)には、二元語基底共有説(氷山説)が入ることが分かります。
問題は、(イ)です。
BICSのほうが短期間で身につくことを考えれば、共有しているのはBICSではないか、という結論に至りそうです。

ですが、ここで思い出してほしいのです。
あの過去問の存在を。
そう、
平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9【第二言語習得】の問5です。
この問題では、選択肢3が正しいというのが公式解答です。
選択肢3「CALPは母語で発達していると、第二言語でも発達しやすくなる。」

どういうことか?
子どもの第二言語学習は、日常的な会話(BICS)ができるようになるのは大人より早いですが、抽象的な文章を読んだりする(CALP)のは苦手です。一方、大人の第二言語学習は、日常的な会話(BICS)では子どもに負けるかもしれませんが、外国語で難しい本を読んだりするのは、子どもより先にできるようになります。大人のほうが、CALPが発達しており、CALPは母語と第二言語で共有するからです。

以上より、3が正解であると思料します。


問5「最近接発達領域(ZPD)」に関する問題です。
心理学者ヴィゴツキーが唱えた、最近接発達領域(ZPD)とは、まだ一人ではできないが、他者のサポートを受ければできる領域のことなので、正解は2であると思料します。

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