日本語教師になりたいと思ったあなたはGoogleを頼る。
『日本語教師 資格』『日本語教師になるには』『日本語教師になるにはどうしたらいい』などのキーワードで検索する。
上位表示されたサイトをクリックすると、
1,現在、日本語教師が足りていないこと
2,日本語教師になるには420時間の日本語教師養成講座がおすすめであること
3,ヒューマン・アカデミーの420時間養成講座が一番人気であること
などが列挙されている。
あなたは、自分が必要とされているように感じる。日本語を習いたいと考える外国人の役に立ちたいと想う。新しいことにチャレンジする自分にワクワクし、420時間養成講座に申し込む。日本語教師になり、世界で活躍する明るい未来を思い描く。
現実の闇を知らずに。
恐ろしすぎる。
数ヶ月前の自分です。
どうして
『日本語教師 資格』とか『日本語教師になるには』とか『日本語教師になるにはどうしたらいい』で表示されるサイトには、日本語教師の実態が書かれていないのでしょうか。
せいぜい
日本語教師の給料は安い
くらいです。
しかし
日本語学校業界の闇は果てしなく深いことを、
私はこの本で知ってしまいました。
不穏な空気が漂うタイトルからすれば、技能実習制度の問題点について書かれた本、と考えるかもしれません。
違います。
『実習生』以上に悲惨なのは日本語学校の『留学生』である
ことが書かれています。
『第1章 ベトナム人留学生という"現代の奴隷"』の冒頭を引用します。
所持金「2000円」の留学生現在、日本語学校から次々とベトナム人留学生が失踪し、犯罪集団と化していることが『ルポ ニッポン絕望工場』には書かれています。
東京都北区から埼玉県に入った辺りの住宅街の一角。最寄り駅から20分ほど歩いたところに、ある日本語学校が借り上げたアパートが建っている。
見た目は何の変哲もない古びた3階建ての物件だ。道路から見上げると、狭いベランダにカラフルなTシャツやズボンなど洗濯物がどっさり干してある。このアパートでは、ベトナム人留学生ばかり30人以上が暮らしているのだ。
1階の入り口で靴を脱ぎ、階段を上がっていった先の2階と3階が寮になっている。各階に4〜5部屋ずつあって、1つの部屋の広さは6畳ほどだ。そして、それぞれの部屋に3〜4人の留学生が詰め込まれている。
トイレやシャワー、台所は各階に1つあるだけだ。家具らしいものは粗末な二段ベッドがL字形に2つあるだけで、机すら置かれていない。そんな一室で、フーンさん(20歳)は、同じベトナム出身のルームメイト2人と暮らしている。
「カイシャ(日本への留学を斡旋するブローカー)に騙されました……」
部屋で話を聞いていると、フーンさんが拙い日本語でつぶやくように言った。今にも泣き出しそうな表情である。(引用終わり)
ベトナム人は在日外国人全体の7パーセントにも満たないが、犯罪に関しては4分の1近くを占めている。その中心にいるのが留学生、そして実習生として入国した者たちだ。(ルポ ニッポン絕望工場158頁より)近い将来、失踪した日本語学校「留学生」による犯罪が大きな社会問題となる可能性が高いです。そうなるとベトナム人「留学生」は締め出され、多くの日本語学校がつぶれ、非常勤日本語教師は路頭に迷うでしょう。それが、「『奴隷』たちの逆襲」(ルポ ニッポン絕望工場第6章)ということでしょうか。
日本語教師になろう、
日本語教師に転職しよう、
と考えたら、
420時間養成講座を受講する前に、
日本語教育能力検定試験を受験する前に、
『ルポ ニッポン絕望工場』を読むことをおすすめします。
日本語学校の現実を知った上で、日本語教師になろうという覚悟が必要だからです。
ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)
以下、『ルポ ニッポン絕望工場』裏表紙より引用
・日本語学校によるボッタクリ
・あるベトナム人留学生の過労死
・六本木ヒルズに集った奴隷労働者
・"偽装留学生"が不法滞在者に
・"ピンハネ" のピラミッド構造
・「台湾化」する介護現場
・派遣切りで4割が失業
・「ユニクロ窃盗団」事件の闇
・犯罪都市「NY化」する日本
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