日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

タグ:ナチュラル・アプローチ

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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教授法・教室活動】です。

試験Ⅰの問題4は毎年、教授法が出題されていますので、教授法は最重要分野の一つです。他の年度の問題4とも比較してみてください。
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教育のコースデザインやシラバス、教授法】です。
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教育・日本語教育の教授法】です。
平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【学習者がグループで話し合う教室活動(ディスカッション・ディベート)】です。
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教授法とその日本語教授法への影響】です。

問1 ナチュラル・アプローチで用いられるシラバスを選ぶ問題です。
ナチュラルな(自然な)アプローチというくらいだから、ナチュラルなシラバスだろうと想像できます。
「文型」「技能」「課題」という言葉には作為的な香りが漂っています。
「話題」は自然な雰囲気です。
よって、正解は1です。
なお、ナチュラル・アプローチは繰り返し出題されており、詳しい説明は他年度の解説にありますので、下記のタグをクリックしてください。


問2 
学習者の母語や媒介語を活用する教授法といえば、文法訳読法が思い浮かびますが、選択肢にありません。そこで、消去法を用います。
1,オーラル・メソッド…オーラル(口述の)といえば、ダイレクトというワードが連想されます。媒介に反するワードなので、1は消去です。
2,ナチュラル・メソッド…ナチュラルといえば、そのままというイメージが浮かびます。媒介に反するので、2は消去です。
3,コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(CLL)…直訳すると、共同体言語学習。名称からは学習者の母語や媒介語を積極的に活用するかしないか分からないので保留です。
4,グレイデッド・ダイレクト・メソッド(GDM)…ダイレクトというワードは、媒介に反するワードなので、4は消去です。
よって、残った3が正解です。
実は、コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(CLL)では、いつでも教師に母語を介して助力を仰ぐことができます。
なお、グレイデッド・ダイレクト・メソッド(GDM)(段階的直接法)とは、学習者の負担を減らすため、段階的に簡単な言葉で教える直接法です。ハーバード・メソッドとも呼ばれています。学習者は身体を使って感覚的に理解します。詳しくは、GDM英語教授法研究会のウェブサイトをご参照ください。

その他の教授法については、他年度の解説で説明していますので、下記のタグをクリックしてください。

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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題6は【文法指導】です。

問1
1,ナチュラル・アプローチ…伝達能力を重視し、学習者が理解できる大量のインプットを与える聴解優先の教授法。
2,TPR(Total Physical Response,全身反応法)…幼児の母語習得過程に倣い、聞いた言葉に身体で反応する教授法。
3,オーラル・メソッド…話し言葉や帰納的理解を重視。ダイレクト・メソッドの不備を応用言語学の理論によって補った。
4,文法訳読法…文法規則の解説や語句の意味を母語で説明。その後、個々の言語データに適用して母語訳する。演繹的指導法。
よって、正解は4です。


問2
初級では網羅的に示さないので、1が正解です。


問3
1,「泳ぎ」は普通形ではありません。
2,「泳ぎ」という動詞も、スキーなどの名詞も入ります。
3,「泳ぎ」は動作の対象ではなく、動作です。
4,Nは存在場所ではなく、移動先です。
よって、2が正解です。


問4 「Vべきだ」の使い方のルールに関する問題です。
1,べきは文語に由来しますが、書き言葉でも話し言葉でも用いられます。
2,根拠に基づいたとしても推量には用いられません。
例…彼は腕が傷だらけだから猫を飼っているべきだ。☓ 彼は腕が傷だらけだから猫を飼っているに違いない。○
3,忠告したり、助言を行ったりするときによく用いられます。
例…お互い猫好きなんだから告白すべきだ。
4,後悔の気持ちを表すときに過去の形で用いられます。
例…卒業式までに告白すべきだった。


問5
意味中心の活動の中で、必要に応じて学習者の注意を文法項目に向けさせる指導といえば、フォーカス・オン・フォームが思い浮かびます。フォーカス・オン・フォームといえば、タスク中心言語教育(TBLT Task Based Language Teaching)です(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』170頁参照)。
よって、正解は1です。

 

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平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4の問3は【モニターモデルの仮説】です。

問3
ナチュラル・アプローチの理論的背景となった、クラッシェンモニターモデルには五つの仮説があります。
1,習得・学習仮説
クラッシェンは、幼児が母語を習得するときのように自然に学ぶことを「習得(acquisition)」とし、教室で意識的に学ぶ「学習(learning)」と区別しました。
「習得」された知識と「学習された」知識は別々に蓄積され、「学習」された知識は「習得」された知識につながらず、自然なコミュニケーションでは役に立たないとするノン・インターフェイス仮説を唱えました。一方、明示的に学習された知識でも繰り返し使うことで、自動化され、使えるようになる(自動化モデル)とする考えかたをインターフェイス仮説といいます。

2,インプット仮説
学習者に理解可能なインプット(現在のレベルより少し高いレベルのインプット(i+1のインプット)が「習得」には必要とする仮説。「習得」はインプットを理解することによってのみ起こり、話すこと(アウトプット)は必要ないとする。

3,モニター仮説
「学習」で身についた知識は、自然なコミュニケーションでは役に立たず、自分の発話をチェック(モニター)する機能しかないとする仮説。

4,自然習得順序仮説
言語の習得には自然な順序があり、その順序を変えることはできないとする仮説。

5,情意フィルター仮説
どんなに理解可能なインプットがあっても、学習者の動機づけが引く低かったり、強い不安を感じていたり、自信がなかったりすると、情意フィルターが高まり、習得が起こらないとする仮説。

よって、正解は4です。
以上の説明は、日本語教育能力検定試験に合格するための用語集90頁、91頁を参考にしました。

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平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題9は【第二言語習得研究】です。

問1
ナチュラル・アプローチの指導方針は、以下のとおりです。
①伝達技能を目標にする。
聞くことを話すことに優先させる。
話すことや書くことを強制しない(産出より理解を優先)
④形式的な「学習」よりも「習得」を中心にする(言語形式より内容を重視)
※「学習」は意識的に学んだ結果得られる知識、「習得」は自然に身についた知識。
⑤学習者の学習動機を高め、不安を少なくする(情意面に配慮する)。

よって、正解は4です。


問2
明確化要求とは、相手の発言が不明確で理解できないときに発言を明確にするよう要求すること。
確認チェックとは、相手の発言を自分が正しく理解しているか確認すること。
理解チェックとは、自分の発言を相手が正しく理解したか確認すること。
明示的フィードバックとは、誤用の存在をはっきり示すこと。
例…「これ、昨日買ってもらたのスマホです」という誤りに対し、「間違ってますよ」「これは昨日買ってもらったスマホです、が正しいです」「これ、昨日買ってもらたのスマホです?」「意味がわかりません」などと言ったり、小首を傾げたりして、誤っていることをはっきり示すフィードバック。
暗示的フィードバックとは、自然な応答の中でさりげなく訂正すること。
例…「これ、昨日買ってもらたのスマホです」という誤りに対し、「ああ、それは昨日買ってもらったスマホですか。iPhone7ですね。」とさりげなく訂正するフィードバック。

よって、正解は1です。


問3 「IRF/IRE型」と呼ばれる教室談話の典型的な例を選ぶ問題です。
IRF/IRE型クラスとは、教師が質問を出し、学習者が答え、教師がその答えに評価やフォロー・アップを加えることです。
教師の評価があるのは選択肢4だけなので、4が正解になります。


問4 
提示質問(ディスプレイ・クエスチョン)とは、すでに答えを知っている質問。学習者の理解を試すために行う。
例…時計を指して「いま何時ですか」、鉛筆を手に取って「これは何ですか」

意味交渉とは、コミュニケーションが滞ったときに、言っていることが通じるよう互いに工夫すること。明確化要求確認チェック理解チェックなどがある。

アウトプット仮説では、学習者は、自分の発話が誤りであるとことを示す否定的フィードバック(negative feedback)により修正を強要されると、意味を正確に伝えようとしてアウトプットを調整すると予測できる。これが、いわゆる「強要アウトプット(pushied output)である(以上、小柳かおる『日本語教師のための新しい言語習得概論110頁より)。

日本語教師のための新しい言語習得概論
小柳 かおる
スリーエーネットワーク
2004-11



学習者には教師ほどの知識がないので、誤用を訂正したり、意味交渉をしたり、強要アウトプットをしたりするのは難しく、簡単な提示質問が増えると思われます。
よって、正解は1です。


問5
学習者は、アウトプットしようとするときに、自分が表現したいことと、現在の能力で表現できることのギャップに気づきます。
よって、正解は3です。

以上の解説は、完全攻略ガイドの「第二言語習得研究から(266頁以下)」を参考にしました。

 

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平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教育・日本語教育の教授法】です。

問5
1,ナチュラル・アプローチは、スペイン語教師テレルが、幼児の母語習得過程を参考に、応用言語学者クラッシェンのモニター理論を応用して提唱した聴解優先の教授法。習得のほうが学習より優れていると考えます。学習目的・到達目標や使用教材はコミュニカティブ・アプローチと共通です。指導法は独特で、教師が学習者に適切なインプットを口答で与え、その後学習者のリラックスした状態を保つため、簡単な応答練習を行います。
利点は、学習者に理解可能な大量のインプットを提供できること、過度の緊張がないこと。
欠点は、教師の発話が多くなりがち、チャレンジングな発話練習がないこと。
ナチュラル・アプローチの理論的背景については、平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4問3で問われています。要確認でございます。

2,トータル・フィジカル・レスポンス(TPR)は、心理学者アッシャーが提唱した聴解優先の教授法で、幼児の母語習得過程を理論的基板としています。ジェスチャーを中心とした身体運動を用いることが特徴です。教師の口答による指示通りに学習者は身体を動かすことによって理解を示します。
利点は、聴解力を集中的に伸ばせること、発話のプレッシャーから解放されること。
欠点は、(サイコロジカル・メソッドと同じく)身体を動かすのが幼稚に映るので学習者によっては抵抗を感じること、動作にかかわらない表現を学習しにくいこと。

3,コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(CLL)は、心理学者カランがカウンセリングの理論を基盤に提唱した教授法で、カウンセリング・ラーニングとも呼ばれます。教師をカウンセラー、学習者をクライアント、教室を一つのコミュニティとみなします。知識のみならず、情意面の向上を学習目的とし、学習者の全人的な成長が到達目標です。学習の成功に必要な心理的条件として、安心感(Security)、注意力(Attention)、積極性(Aggression)、定着(Retention)、振り返り(Reflection)、識別(Discrimination)の頭文字をとってSARDと呼んでいます。
利点は、知りたいことをすぐに教えてもらえる、自由なコミュニケーションが楽しめる、自律的学習が組み込まれていること。
欠点は、教師の負担が大きい(カウンセリング理論への精通、学習者の全人的な受け入れ、高い指導力)こと。

4,サイレントウェイは、心理学者ガッテーニョが、認知心理学を理論的基板として提唱した教授法。学習者自らが言語規則を発見することが目的なので、教師はできるだけ沈黙し、サウンド・カラー・チャート(発音を色分け)、ポインター(指示棒)、ロッド(多色で様々な長さの棒)を使う。
利点は、学習者の自律性が尊重されることによって記憶が促進される、発話するのは学習者のみなのでリラックスできる、教師の動きを追わないと理解できないので集中して参加するようになること。
欠点は、特殊な教材の使いこなしが必須、少人数に限定、明示的な説明をしないため学習進度が遅くなりがちであること。
サイレント・ウェイの背景にある学習観については、平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4の問4で問われています。要確認です。
よって、正解は3です。


各教授法の説明は、ヒューマンアカデミーの完全攻略ガイド第3版(第2部 言語と教育)を参考にしました。

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