日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

タグ:トップダウン処理

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9は、【文章理解の過程】です。

問1「ワーキングメモリ」に関する問題です。
ワーキングメモリ(作業記憶)とは、思考や判断などの際に必要な情報を一時的に保持・処理する記憶機能。短期記憶の一種とされる(スーパー大辞林3.0)。

1,目や耳から入ってきた情報を1/2秒程度保持する記憶というのは、感覚記憶のことでしょうか。 

「短期的な情報の保持と情報処理に用いられる」
4が正解であると思料します。


問2「推論」の一種である「橋渡し推論」に関する問題です。
橋渡し推論については、平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9【文章理解と予測の役割】平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11【言語理解の過程】などで出題されています。


日本語教育能力検定試験に合格するための用語集
 
日本語教育能力検定試験に合格するための用語集78頁によると、
橋渡し推論は、明示的には述べられていない部分を埋める推論。
精緻化推論は、読んだり聞いたりした内容を深く理解するための推論。

1,「花瓶を落とした」→「弁償することになった」
明示的には述べられていない部分である「花瓶は割れた」を推論で理解していますので、橋渡し推論であると思料します。
よって、正解は1です。


問3 文章の理解度に関わる「読みの過程で行われるモニタリング」に関する問題です。
で、「読みの過程で行われるモニタリング」という言葉がしっくり頭に入ってこず、この問題は少し悩みました。
よくわからないので、キーワードに注目しました。モニタリング。
モニタリングとは、状況を監視すること(スーパー大辞林3.0)。
ということは、監視以上のことをしている、選択肢3と選択肢4が消去できます。
また、自分が外国語の文章を読むときのことを考えてみるに、いちいち「文章中の表現を母語と比較して、違いや類似点を確認」したりはしないな、と思い至りました。
よって、2が正解であると思料します。


問4
形式スキーマと内容スキーマについては、
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9【文章理解と予測の役割】でも問われています。

『研究社日本語教育事典』105Lによると、
形式スキーマ(フォーマルスキーマ)は、テキスト形式、修辞、構造に関する知識。
内容スキーマ(コンテントスキーマ)は、テキスト内容の背景知識。

1,談話展開といえば、会話の組み合わせ(構造)が思い浮かぶので、形式スキーマではないかと存じます。

2,文字に関する知識。
例えば、「被告」という文字に関しては、訴えられた人という意味だな、という知識があります。テキスト内容ですから、内容スキーマではないかと存じます。

3,専門用語に関する知識。
例えば、「被告」という言葉に関して、法律用語としては民事訴訟で訴えられた人のことであり、刑事訴訟では「被告」である、という専門用語に関する知識は、テキスト内容に関することなので、内容スキーマではないかと存じます。

4,文化・社会に関する知識
マスコミが刑事「被告人」のことを「被告」と呼ぶため、「被告」=犯人、悪い、というイメージが社会に浸透してしまい、民事で訴えられた人が「なんで私が被告なんですか!私は潔白です!」と裁判官に怒りを表している場面を見たことがあります。誰でも過失がなくても民事で訴えられれば「被告」になりうるのに、日本の文化・社会では「被告」は悪い、という認識なんですね、というような文化・社会に関する知識は、テキスト内容の背景知識なので、内容スキーマといえるのではないでしょうか。

以上より、正解は1であると思料します。


問5「ボトムアップ的な読み」を行う際のストラテジーの例として不適当なものを選ぶ問題です。
ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』247頁の図がとても分かりやすいです。同本246頁によると、

トップダウン処理では、理解対象の周辺的な情報(文章のタイトルや挿絵、会話の相手の表情や場の状況など)から、理解に先立ち予測や推測を行い、理解の過程でその仮説検証を行い、それが正しかったかどうかの照合(マッチング)を行う。

ボトムアップ処理では、理解対象の中に含まれる部分的な情報(文字、音声、語句、文など)から理解を進め、その理解を積み重ねて情報全体を理解しようとする。

母語話者は、トップダウン処理とボトムアップ処理を無意識のうちに適切に使い分けており、これを補償モデルという。

3はスキミングです。ボトムアップ的な読みではないと存じます。
よって、3が正解です。

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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11は【言語理解の過程】です。

問3「トップダウン処理」がより必要とされる「スキャニング」の読み方に関する問題です。
スキャニングとは、自分にとって必要な情報のみを拾い出す読み方です。
よって、正解は3です。
なお、スキミングでは、段落ごとのトピックセンテンスのみを読む読み方や全体をざっと読み大意をとる読み方をします。


問4
でました。学習ストラテジーに関する問題。毎年出題されていますので、各用語の意味を正確に理解しておく必要があります。

1,認知ストラテジーは、学習する方法です。
例…認知ストラテジーの意味が分からないのでグーグル先生に訊ねよう。

2,間接ストラテジーは、学習を間接的に支え、習得のための条件を整えます。メタ認知ストラテジー、情意ストラテジー、社会的ストラテジーがあります。

3,メタ認知ストラテジーは、学習を管理する手段です。
例…一週間で一年ずつ過去問を解くぞ!

4,補償ストラテジーは、知識不足を補う手段です。
例…補償ストラテジーという単語の意味はわからないけれど、選択肢1から3が当てはまらないのは分かるので、正解は4の補償ストラテジーだな。

以上より、正解は4です。
 

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平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題5は【新聞読解の授業(上級)】です。

問1 新聞読解において読みたい記事の概要を素早く理解することはどのような活動に分類されるでしょうか。

スキミングは、全体をざっくり読む。大意をつかむ。
スキャニングは、知りたいとこだけ読む。知りたい部分を探す。

概要とは『物事のおおすじ。大体の内容』(スーパー大辞林3.0)なので、
概要→スキミングです。
よって、正解は1です。


問2 見出しの言語的構造から、記事の内容の展開が予測できるようになるというねらいに沿って「見出し一覧」を作成する際、取り上げる見出しの例として適当なものを選ぶ問題です。
1,主述関係が明示されていると、見出しで完結してしまうので、記事の中身を予測するのは難しいです。
例…「政府は国産技術を守れ」→何の国産技術を守れと言いたいのか見出し以上のことは予測しがたい。
  「署名100万人を越える」→何の署名が100万人を越えたのか、見出し以上のことは予測しがたい。
2,文化的含意があると、国籍や専門が異なる学習者には予測が難しいです。
3,言いさし文は、予測させるのに適しています。
例…「家事ロボット、実用化を視野に」→「今まで○○の問題でできなかったけれど、△△によってそれを乗り越えて、ついに実用化が目前です。実用化される××が便利になるけれど、□□な懸念もあります」などのように記事の内容を予測しやすいです。
4,読書投書欄は、他の新聞記事とは文章の構造が異なる(記者ではなく読者が書いている)ので、新聞記事の見出し一覧としては相応しくないと思います。


問3
ボトムアップ処理とは、単語→文→段落、と小さい部分から全体を理解していく処理。
トップダウン処理とは、まず予測を立て、全体を理解して細部に進む処理。
精緻化リハーサルとは、記憶ストラテジーの一種。既有知識と結びつけて覚える。
例…「猫」という言葉を新たに覚えるのに「いつも私を引っ掻いてくる生き物」という既有知識に結びつけて覚える。「猫」=「引っ掻いてくるやつ」
プロトコル分析とは、観察対象者の発話を分析して、観察対象者の認知過程を調べること。認知心理学の手法。
以上より、見出しから記事の内容を予測するのは、トップダウン処理なので、正解は2になります。


問4
学習者Xは、選手名やルールという自分が知っているキーワードを見つけて面白く読んでいますので、正解は4になります。


問5
この授業の狙いは、予測力を鍛えることです。予測しているのは選択肢3(内容から隠された見出しを考える)だけなので、3が正解になります。

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