日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

カテゴリ:平成28年度日本語教育能力検定試験問題の解説 > 試験Ⅲ

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題9は【来日外国人児童生徒と文化受容態度】です。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題9は【異文化トレーニングの方法】です。

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10【異文化接触】では、「文化に対する気づき」「理解」「対処」の三段階を通して、異文化接触の際に必要となる能力が養われるとしていました。
本問も同じことを言っているのですが、それぞれ「認知レベル」「情動レベル」「行動レベル」と用語が異なっています。
このように、本試験では、過去問と(ほぼ)同じことを言っているのに、違う用語を使ってくることがよくありますので要注意です。


問1「異文化トレーニング」に関する問題です。
「例外を認めない選択肢は誤りの可能性が高い」ストラテジー を使うと、
2,講義形式の学習は行わない
3,滞在中や帰国後に行うことはない
4,過去に異文化体験をしたことのあるものはトレーニング不要
といずれも例外を認めない選択肢なので、残りの1が正解と推測できます。

2,
異文化トレーニングのやり方については、
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10【異文化接触】
の問題文で説明されていますので、一部引用します。
ソーシャルスキル(社会的スキル)とは、対人関係における、挨拶・依頼・交渉・自己主張などの技能。(スーパー大辞林3.0)

(引用始め)
学生「(異文化接触で生じる現象の対処は)経験から学ぶしかないのでしょうか。」
教員「いいえ。教育の方法も考えられます。異文化間ソーシャルスキルを学ぶなどするとよいでしょう。」
(引用終わり)

だからその「異文化間ソーシャルスキル」とやらをどうやって学ぶんですか!
とツッコミたくなる問題文でございますが、その答えは異文化トレーニングという本にあります。
異文化トレーニング
 
こちらの記事でも紹介しましたように、上記本を読むだけで異文化トレーニングできます。講義形式の学習の教科書に最適ですね。
よって、選択肢2は誤りと思います。

3,
異文化トレーニングは、「異文化に接触した際のスムーズな適応のため」行うものですから、滞在中も必要であれば行うべきであり、選択肢3は誤りです。

4,
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10【異文化接触】問3の解答のように、異文化接触で生じる現象は「どの文化との接触でも起きる文化一般的な内容と、特定文化との接触で起きる文化特異的な内容」がありますので、過去に異文化体験をすれば、どの異文化にも適応できるというわけではなく、異文化に応じてトレーニングは必要ですから、選択肢4も誤りです。

1,
異文化接触で生じる現象は「どの文化との接触でも起きる文化一般的な内容と、特定文化との接触で起きる文化特異的な内容」がありますので、「参加者それぞれの文化的背景を考慮して、プログラム内容を構築する」必要があります。

以上より、1が正解です。


問2「自文化中心主義」に関する問題です。
自文化中心主義(エスノセントリズム)とは、自己の属する集団のもつ価値観を中心にして、異なった人々の集団の行動や価値観を評価しようとする見方や態度。自民族中心主義。(スーパー大辞林3.0)
※エスノ…「民族」「人種」 を表す接頭辞。

よって、1「自文化の価値基準を、他の文化にも当てはめようとすること」が正解です。

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題9は【来日外国人児童生徒と文化受容態度】です。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題9は【異文化トレーニングの方法】です。

問3「情動レベル」のトレーニングでは、心理テストロールプレイ異文化シミュレーションゲーム等が用いられますが、このうち異文化シミュレーションゲームの名称と内容の組み合わせを選ぶ問題です。

この問いを見た私は、
心のなかで「よっしゃ!」と叫びました。
「異文化トレーニング」の記事で書いた「異文化を理解するためのシミュレーションゲーム」4例(エコトノスアルバトロスバーンガバファバファ)がそのまま出題されたからです。
しかし、内容を読んでいくうち不安になりました。自分で記事を書いたくせに記憶があやふやで、どの名称がどの内容なのか自信が持てなかったのです。
ですが、
バファバファ人というのは見たことがないぞ?
と思い、
なんとか選択肢4をつかみ取りました。

バファバファの正しい内容の説明はこちらのサイトにありました。


問4
スーパー大辞林3.0によると、
ファシリテーターとは、後援者・補助役・まとめ役の意。ファシリテーションを行う人。
ファシリテーションとは、グループによる活動が円滑に行われるように支援すること。特に、組織が目標を達成するために、問題解決・合意形成・学習などを支援し促進すること。また、そのための方法。

よって、正解は2「参加者の考え方や論理の筋道などの思考的なプロセスに関与して、議論を促す」と思料します。

問5 自分とは異なる価値観に遭遇した際に取るべき措置。
1,エンパシーとは、共感。感情移入。
2,ラポールとは、互いに親しい感情が通い合う状態。打ちとけて話ができる状態。(スーパー大辞林3.0)
3,エポケーとは、断定留保。判断中止。
4,エンブレムは、象徴。

以上より、3が正解です。

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題10は【明示的知識と暗示的知識】でした。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題10は【学習者の誤用と中間言語分析】です。

問1「ミステイクやエラー」
ミステイクは、言語運用の失敗。母語話者でもおかす。
エラーは、言語能力の欠如。母語話者はおかさない。

よって、4が正解です。


問2「学習者の誤用」の一つである「過剰般化」 の例
過剰般化(過剰一般化)とは、第二言語の規則を過剰に適用すること(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』254頁)。

3,ナ形容詞を否定で用いるときに「じゃありません」をつけますが(例…ハンサムじゃありません)、これを何にでもつける日本語学習者に私もタイで出会いました(例…これ、辛いじゃないよ)。イ形容詞にはつかえません。辛くないよ。

よって、正解は3です。


問3「筆記で空所を補充するような文完成課題」の特徴
1,勘で答えても正答を得られる確率が50%なのは、二者択一です。
2,測定したい項目を、空所にすることで、正しい形式を産出する能力を測定できます。
3,マークシート方式に比べると採点が容易ではありません。
4,出題者が想定していなかった解答が見つかったりするので、一つに絞られるとは限らないと思います。

以上より、2が正解です。


問4「電気がついてです」の誤用の説明
自動詞「つく」を活用(イ音便)して「ついて」としているので、自動詞は使えています。
なお、他動詞は「つける」なので、これを用いると「つけて」になります。

一方、電気が今ついた、のではなく、「ついた」結果の状態を表しているので、「ている」を使わなければなりません。「ついている」「ついています」が正しい表現です。
しかし、使えていませんので、2が正解です。


問5 「中間言語分析」の説明
問題文に
「習得とは何か、学習者の言語能力はどんなものであるか。それを明らかにするために、第二言語習得研究は誤用分析から中間言語分析へと発展してきた」
とあります。
この説明に一番近いのは、
3,「学習者の正用、誤用両方を含めた目標言語の使用を研究対象としている」
ではないかと思い、
3が正解だろうと結論づけました。

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11は【外国語教育の変遷】でした。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11は【コミュニケーション・スタイルと語用論的転移】です。

問1「間接的表現」といえば「間接発話行為」が思い浮かびます。「間接発話行為」といえば、
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題4【発話行為】の問3と問4です。

1,棚の上の物を友達に取ってもらいたいとき、「あそこの棚の荷物取ってくれない?」という直接的な表現を用いずに、「あそこの棚届く?」と可能表現にすることで、間接的に気持ちを伝えています。試験Ⅲ 問題3【どのように言うか】の問5選択肢2「難しいです」と同じような配慮ですね。

よって、正解は1です。


問2「母語習得」に関する問題です。
1,子どもが話し手と同じ対象に注意を向けることで、言葉の意味を推測し習得することを理論的基盤にしたのが、TPRではないでしょうか。『幼児の言語習得を促すバイアス』も参考になりました。

正解は1と思料します。


問3 英語母語話者が母語を直訳した結果、語用論的転移となった例
2,英語では、飲みに誘うとき、「Would you like to go for a drink?」(一杯、飲みに行きたいですか?)と言うため、日本語に直訳すると語用論的に不適切になります。

よって、正解は2です。


問4「語用論的転移が起こりやすい場合」
1,母語と目標言語との言語間の距離を近いと感じている場合では、違いを意識せず直訳してしまい、「語用論的転移」が起こりやすいといえそうです。

よって、1が正解と思料します。


問5 ロールプレイには「タスクを先に行う方法と表現学習を先に行う方法がある」ことに関する問題です。
1,表現学習を先に行うと、学習した表現を意識するため、発言内容や表現形式の自由度は低まると思います。

2,タスクを先に行うには、ある程度の表現方法を知っている必要があるので、初級前半レベルの学習者に適してはいません。

3,タスクを先に行う方が、知らない表現にも対応しないといけないので、状況対応力を養うことができます。

4,タスクを先に行うことで、したいこととできることのギャップに気づきやすいです。

よって、正解は4です。

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題12は【言葉の言い換え】です。でした。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題12は【コード・スイッチング】です。

問1「二言語話者(バイリンガル)」に関する問題です。
1,二言語を同程度に習得していなくても、バイリンガルと呼ぶことはできます。

ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』269頁によると、
均衡バイリンガル(バランス・バイリンガル)…2つの言語を同じくらい流暢に使える。
偏重バイリンガルドミナント・バイリンガル)…2つの言語の能力に差があり、一方の言語のみが年齢相応のレベルまで発達している。
限定的バイリンガル(ダブル・リミテッド・バイリンガル、リミテッドバイリンガル、セミリンガル)…どちらの言語においても十分な言語能力を身につけていない場合。

2,バイリンガルになるには、ほぼ同時期に二つの言語を習得し始める必要があるわけではありません。
ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』270頁によると、
子ども時代を過ぎてから二言語使用をはじめることを達成型バイリンガリズム、幼児期にはじめることを獲得型バイリンガリズムといい、子どもが早い段階で同時期に2つの言語を習得することを同時バイリンガリズム、子どもがある言語を習得してから第二言語に習熟していくことを、連続バイリンガリズムといいます。

3,バイリンガルであっても、二つの文化を内在する二分化併用者とは限りません。
2つの言語を話せても、価値観や行動パターンは1つであるモノカルチュラルと、両方の文化にわたるバイカルチュラルがあります。

4,子どもの時に二言語をバランスよく習得しても、長期間使わなければ、その言語能力は衰えていくでしょう。

よって、正解は1と思料します。

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

↑このページのトップヘ