日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

カテゴリ:平成28年度日本語教育能力検定試験問題の解説 > 試験Ⅲ

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題2は【初級の学習項目に現れるモダリティ形式】でした。 
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題2は【主題を表す形式】です。 

問題2は難しかった。

問1 日本語は主題優勢型言語と言われており、格成分や名詞句に含まれる要素以外のものでも主題になります。その例を選ぶ問題です。

主題その文が何について述べるものか、その範囲を定めるもので、主語や主格とは別の概念。

これが本問での主題の内容です。

日本語教育事典 (1982年)
 
の172頁によると、
『主題』という術語を用いていても、学者により、その内容はそれぞれ異なっている。
ということですから、
本問の一文目に示された主題の定義に従って、慎重に検討しなければなりません。
念のため、その他の用語も調べておきます。

主語とは、文の成分の一つ。文の中で、「何がどうする」「何がどんなだ」「何が何だ」における「何が」を示す文節をいう。(スーパー大辞林3.0)
主格とは、文や句の中で主語を表す格。(スーパー大辞林3.0)

とは、名詞・代名詞などが、文中で他の語に対してもつ関係。日本語では、「が・の・に・を」などの格助詞が格の関係を示す。(スーパー大辞林3.0)
名詞句とは、文の一部を構成する一連の語で、全体として一つの名詞と同じはたらきをするもの。(スーパー大辞林3.0)

以上の知識を踏まえて、各選択肢を検討します。

1の文は、母について述べているので、主題は「母」です。「母」は名詞そのものなので「名詞句に含まれる要素」という理解で良いのでしょうか。

2の文は、スマートフォンについて述べているので、主題は「スマートフォン」です。同じく「名詞句に含まれる要素」という理解で良いのでしょうか。

3の文は、あの笑顔について述べているので、主題は「あの笑顔」です。連体詞+名詞です。これも「名詞句に含まれる要素」という理解で良いのでしょうか。

4の文は主題は、自信がなかったので、日本語教育事典 (1982年) で調べました。
以下、引用します(172頁)。

「主題となっているものが文脈上明らかで、その主題を示すものが叙述部に示されている場合には、主題が言語の表面には示されないのが普通であり、また話の場の状況そのものが主題(それについて述べられるべき対象)である場合にも、それは言語の表面には表されない。このように言語の表面に現れないのが普通である主題を陰題と呼び、前者を転移陰題、後者を状況陰題と呼ぶのが適当であろう。」

この説明が、本問のいう「主題」にも当てはまるのかは分かりません。
なぜなら、
『主題』という術語を用いていても、学者により、その内容はそれぞれ異なっている。
からです。

しかし、仮に当てはまるとして考えれば、
4の主題は「明日の会議」ではなく、「報告しておくこと」なのではないかと判断しました。
選択肢4の叙述部「私が報告しておきます」において、「報告しておくこと」という「主題」が示されているので、言語の表面には表されなかった(転移陰題といえるのでないかと。
とすれば、選択肢4の主題は、格成分や名詞句に含まれる要素以外のものといえるので、4が正解であると思料します。
ですが、この問題は自信がありません。実際の答案は、3を選びました。
選択肢3の主題を、「何かいいことがあった」と判断し、「格成分や名詞句に含まれる要素」といえるのかはよくわからないけれど、他の選択肢の主題が「格成分や名詞句に含まれる要素」といえると思ったので、消去法で選びました。選択肢4の主題は、「明日の会議」と判断し、「名詞句」であると考えました。
ですが、解説を書くにあたって本を調べ、再検討したところ、以上のとおり4ではないかと思い直しました。

追記)2016年10月27日08:41
自分の考えは間違っていたのではないかと思いました。
この問題、実はとてもシンプルだったのかなと。
問題文下線部Aの直後に
「主題を表す代表的な形式は『は』」
とあり、選択肢すべてに「は」がありますし、どれも主題っぽいです。
1,「母」
2,「スマートフォン」
3,「あの笑顔」
4,「課長に」
1と2は、名詞なので「名詞句に含まれる要素」といえるのではないでしょうか。
「格成分」という言葉がいまいちぴんとこないのですが、「ガ」とか「ヲ」とか「ニ」とか、そういうものを指すという理解で良いのですよね?
であれば、選択肢4の「に」は格成分ですから、「格成分や名詞句に含まれる要素」といえるのでないでしょうか。
私がよくわからないのは選択肢3です。
「あの笑顔」には連体詞がついていることが他の選択肢との違いです。これが
「格成分や名詞句に含まれる要素以外のもの」といえるのでしょうか。
よく分かりません。
しかしながら、1,2,4が
「格成分や名詞句に含まれる要素」が主題になっているので、正解は3なのでしょうね。

今週日曜に大原さんで行われる平成28年度日本語教育能力検定試験問題解説会のようなものに参加して、質問したいのですが、関西ではやるところはないのでしょうか(泣)

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

どこよりも早い解答速報(解説付き)

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題2は【初級の学習項目に現れるモダリティ形式】でした。 
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題2は【主題を表す形式】です。 

問2「『は』と『が』の使い分け」に関する問題です。ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』であれば122頁以下になります。

1,
共起とは、複数の言語現象が同一の発話・文・文脈などの言語的環境において生起すること。「しとしと」は「雨が降る」とは共起するが、「雪が降る」とは共起しないといえる。アメリカの言語学者ハリスの用語。(スーパー大辞林3.0)。 
象は鼻が長い―日本文法入門 (三上章著作集)
 
↑この本のタイトルのように、「は」と「が」は単文内で共起します。

2,
「は」は「が」以外の助詞の代わりをすることはない、というのは、例外を認めない選択肢なので誤りだろうと推測しつつ、「が」以外の助詞の代わりになるか検討します。
肯定文だと思いつかなかったのですが、否定文なら見つかりました。
例)野菜食べない。→野菜食べない。
  散歩行かない。→散歩行かない。
  海行かない。→海行かない。

3,
ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』75頁によると、意志動詞・無意志動詞は、意思的な行為を表せるか否かの違いによる分類です。食べるは意志動詞、降るは無意志動詞。
「僕は食べる」のように意志動詞の主語を「は」で示すこともできます。
「雨が降る」のように無意志動詞の主語を「が」で示すこともできます。

4,従属節内で「は」が使えるかどうかは、従属節の種類による。
用語検索マンボウによると、従属節には3つの種類があるそうです。
副詞節…理由・目的・条件などを表す節で、述語や主節全体を修飾する(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』113頁)。
例1)彼女あまり勉強しなかったのに、試験に合格した。

連体修飾節…体言を修飾する。
例2)猫集まる公園
   猫集まる公園☓

補足節…補足語の一部になっていうような節。節全体が名詞となるので名詞節ともいう。
例3)猫昨日かつお節を食べたのは確かだ。
   猫昨日かつお節を食べたのは確かだ。☓

以上より、従属節内で「は」が使えるかどうかは、従属節の種類による、といえそうですので、
正解は、4と思料します。

なお、ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』では、「は」と「が」の使い分けに関して以下のとおり説明しています。

「従属節の内部に収まる主語には『が』を使い、後の述語にかかるような主語には『は』をつかう」
→例1)彼女あまり勉強しなかったのに、試験に合格した。

「対比を表すときには『は』をつかう。また、『ほかならぬ〜』『まさにこの』などの意味を表すときには『が』を使う」
→例4)犬来たのに、猫来ない。 

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題2は【初級の学習項目に現れるモダリティ形式】でした。 
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題2は【主題を表す形式】です。

問3の解説に入る前にお知らせです。
問1の私の解説は間違っていたと判断し、追記しました。ご迷惑おかけしました事を謹んでお詫び申し上げます。

問3「は」以外の主題を表す形式に関する問題です。
1,
基礎日本語辞典のp870-871によると、
「話題の提示の『なら』は、文法的には係助詞『は』に相当する。相手によって引き出された話題をテーマとしてことばを受け継ぐ表現である。」
例)ササミなら、いくらあっても構わないよ。
基礎日本語辞典

2,
「なんか」は、話し言葉で主題に対する主観的評価を表すときに用いられると思います。
例)あれなんか良さそう。

3,
スーパー大辞林3.0によると、
「としては」の意味は「…の場合には。…の立場では。」
例)「私としてはお引き受けできません」
  「彼としてはそう言わざるをえなかったのだろう」
このように、「としては」は、言葉を定義する文の主題を表すときではなく、立場を表すときに用いられます。

4,「ったら」は条件節をつくりますが、主題になるのは主節ではないでしょうか。
例)雨が降ったら、運動会は中止になるだろう。(主題:運動会)

以上より、正解は1と思料します。


問4
助詞の省略については、ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』86頁に説明があります。

強い格(ガ格、ヲ格)の特徴
話し言葉では格助詞を省略することが多い。
例)お腹(が)減った。
  解説(を)書いてます。


弱い格(ト格、デ格、カラ格など)
格助詞を省略しないのが普通。

よって、3が正解と思料します。


問5「各言語における主題の表示方法とその用法」に関する問題です。
1,英語は強弱アクセントを持つ言語ですが、格成分であれば主題化できるという意味が分かりませんでした。英語は主語優勢言語なので、基本的に主題と主語が一致するのではないでしょうか。

2,韓国語は日本語と同じ膠着語であり、主題を表す助詞を持ちます。

3,スペイン語の話題を表す手段は動詞の活用語尾だと思います(wikipedia「話題」参照)。

4,中国語の主題を表す手段は語順です(wikipedia「話題」参照)。

以上より、正解は2です。

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題3は【日本語の名詞修飾表現】でした。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題3は【どのように言うか】です。 

問1 「筆を執る」が「文章を書く」といった意味で使用されるのと同じタイプの意味拡張の例を選ぶ問題です。
「筆を執る」は書くための準備行動にすぎないのに「文章を書く」という意味に拡張しています。

4,「耳を傾ける」は注意して聞く準備行動にすぎないのに、「 注意して聞く」という意味に拡張しています。

よって、4が正解です。


問2
1,受身を使うことで、後者は太郎に視点を置いているので、正解は1であると思料します。

2,前者と後者の差は、出来事の新情報・旧情報の差ではなく、叱った側に視点があるのか、叱られた側に視点があるのかの差だと存じます。

3,被害のニュアンスを表すのは間接受身のことだと思いますが、本問は直接受身です。
間接受身(被害受身)の例)
「猫が刺身を取った」→「(僕が)猫に刺身を取られた」

4,被害を表すのは間接受身ではないでしょうか。


問3
1,「間違った解説を書いて、すみませんでした」のように、描写系の「すみません」は、タ形でも使用でき、過去の出来事に対する詫びとして使用できると思います。

2,遂行系の「お詫び申し上げます」は、発話行為の一種であるため、意味上の主語が一人称でなければ使用できないと思います。
例)彼がお詫び申し上げます☓

3,命令形の「ごめんなさい」は表現の上では許すことを相手に要求していますが、目下の者以外にも使用できると思います。というか、使用してしまいました

4,表出系の「誠に遺憾に思います」は、本来話し手の感情を表す表現ですが、公的な立場からの謝罪として使用されすぎですね。

以上より、2が正解です。


問4
2,「てしまう」を用いると、望ましくない事態が生じたと自分が認識していることを聞き手に伝達できます。
例)同棲していた彼女が行ってしまうので僕は一人になってしまう。彼女を怒らせてしまった。同窓会に出席してしまったのだ。元カノに再会してしまって、ついはしゃぎすぎてしまって、ホテルで一晩過ごしてしまった。朝帰りと匂いでバレてしまった。誠に遺憾に思います。

よって、2が正解であると思料します。


問5 詫びと理由説明には様々な言い方と表現効果があることに関する問題です。
1,勧誘表現の「ませんか」は否定を含む疑問の形式なので、「ましょう」よりも控えめで丁寧さが感じられます。
例)「もう一度、デートしませんか」
  「もう一度、デートしましょう」

2,断り表現では、「難しいです」のように実現可能性の問題として伝えることで、聞き手への配慮を表すことが多い。
例)「浮気した人ともう一度デートするのは、難しいです」

3,逆だと思います。与益表現を含む「てあげましょうか」は、申し出表現の「ましょうか」より差し出がましく感じられます。
例)「肩を揉んであげましょうか」
  「肩を揉みましょうか」

4,依頼表現の「てください」は、聞き手の負担になる行為だけでなく、聞き手の利益になる行為にも用いられます。
例)「肩を揉ませてください」

以上より、正解は3と思料します。

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成27年度日本語教育能力検定試験の問題4は【談話】です。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題4は【どのように言うか】です。 

問1昔のハ行の発音に関する問題です。
日本語教育能力検定試験に合格するための音声23にハ行の歴史について詳しい説明がありました。楽に発声しようと唇が緩んでいったのだとか。
現代日本語のハ行音はかつては両唇破裂音であったと推定されるので、正解は1です。 
 (日本語教育能力検定試験に合格するためのシリーズ)
 

問2 ハ行転呼に関する問題です。
アルク『日本語教育能力検定試験に合格するための音声23』によると、 
奈良時代から平安時代後期にかけて、両唇摩擦音へと変化し、さらに、語頭以外の位置に現れる場合に、ワ行音の発音に近くなっていったと考えられますので、正解は2です。

問3
ハヘホは、無声声門摩擦音
バ行音は、有声両唇破裂音
なので、声帯振動の有無以外にも、調音点と調音法が異なります。

ハ…無声声門摩擦音
ヒ…無声硬口蓋摩擦音
フ…無声両唇摩擦音
なので、調音点が異なります。

よって、正解は3です。


問4「現代仮名遣い(昭和61年内閣告示)」に関する問題です。
文部科学省の「現代仮名遣い」に関する内閣告示及び内閣訓令についてによると、
「この仮名遣いは、「ホオ・ホホ(頬)」「テキカク・テッカク(的確)」のような発音にゆれのある語について、その発音をどちらかに決めようとするものではない。」とありますので、選択肢1は誤りです。

「この仮名遣いは、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。」とありますので、選択肢2は誤りです。

「この仮名遣いは、擬声・擬態的描写や嘆声、特殊な方言音、外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。」とありますので、選択肢3は誤りで、4が正解です。


問5 日本語の発音と表記に関する問題です。
1,助詞のヲを「お」ではなく「を」と表記する経緯は、wikipeidaが詳しいです。ハ行転呼の影響なのは、「ほ」→「を」ではないかと存じます。

よって、正解は1と思料します。 

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

↑このページのトップヘ