日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

カテゴリ:平成28年度日本語教育能力検定試験問題の解説 > 試験Ⅲ

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思ってたんと違う!
最後の問題を見た瞬間、愕然としました。


順番が前後して恐縮ですが、言いたくて我慢できないので試験Ⅲの解説は記述式問題からさせてください。


私はあまりに驚いたので、平成23年以降の記述式問題について、確認してみました。
以下のとおりでした。

平成23年度記述問題【教室活動の中で、間違いの指摘及び訂正をどのように扱うか】

平成24年度記述問題【『好きくない」について、授業でどのように扱うか。文法的な説明を加えつつ記述】

平成25年度記述問題【初級のアクセント指導をどうするか。東京方言でのコミュニケーションにおいてアクセントが果たす役割についても言及】

平成26年度記述問題【グループ活動における日本語能力差についてどう考え、どのようにグループ構成するか】

平成27年度記述問題【「論理的思考能力を高める」ため授業でディベートを取り入れることについて】

いずれも、
日本語教師としての授業方針
が問われています。

ところが今年の試験問題は、
ただのアドバイス
です。

一応、
教師と学生という立場でありますが、
友人同士であっても答えはさほど変わらないでしょう。

そういうことです。

今回の問題は、日本語教師としての知識が一切不要、なんです。
勉強していなくても、だれでも書ける問題です。
知識は一切問わない、ただ論理的な文章が書ければいい。
問題作成者はそう言っているのです。

昨年までの記述試験で要求されていたのは、
専門性+論理性
でしたが、
今年の記述試験では、
一般常識+論理性
に変わったのです。

しかし、です。
書くのが容易になり、
皆が高得点を取ると予想されるときこそ、要注意です。
基本をおろそかにしたら、自分だけ点が低くなってしまいますから。

次回の更新では、記述問題6ヵ条に沿って書いた私の再現答案を公開します。

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記述問題6ヶ条に基づいて説明しながら、答案を再現します。

第1条 問いに応える

問いに応えるために、まずは問題文の問いに印をつけます。

1(メイン)「あなたはこのような状況において、この学生にどのようにアドバイスしますか。理由とともに400字程度で記述してください」

2(サブ)「なぜお母さんがそのように言ったのかを推測し、その推測を踏まえて論じてください」

平成27年度記述式問題を解説したときと同じように、まずはメインの問いに応えます(サブの問いから応えたほうが書きやすいという方はもちろんサブが先でも構いません)。

メインの問「あなたはどのようにアドバイスしますか」
応答「贈り物をするときは物を褒めないほうが良いというアドバイスを私はする。」

※太字は問いの言葉です(第2条 問いの言葉をなるべく使う)。

問いに対し、一文で応えたら、次は一文で理由を書きます。問われていなくても書くべきですが、本問では、理由も書けと明確に問われているので、絶対に書かなければなりません。必ず書かなければならないことは、早めに書きます。忘れるといけないので。

「贈り物をするときは物を褒めないほうが良いというアドバイスを私はする。日本で暮らしやすくするためだ。」

まだ、必ず書かなければならないことが残っているので、どんどん書いていきます。サブの問いに対する応答です。

サブの問「なぜお母さんがそのように言ったのかを推測し、その推測を踏まえて論じてください」
応答「ホストファミリーのお母さんも同じ理由で、学生に忠告したと推測する。謙遜を良しとする日本において、お土産を渡す際に自ら「高級な物」と主張するのは無礼な表現だからだ。特に、目上の人に対しては使うべきではないので、そうアドバイスする。 」

※二行目(謙遜を良しとする〜)が、「その推測を踏まえて論じて」いる部分です。
メインの問いの後に書いた理由(日本で暮らしやすくするためだ)は論理の流れを飛ばしすぎて、それだけでは意味が分かりづらいですが、ここで理由を補強しようと思っていたので、あえて上のように書きました。

これで問いには全て答えました。
最低限の点数は確保できたと思いますので、は加点を狙っていきます。

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記述問題第3条【反対意見の根拠に配慮する】再現答案とその解説1の続きです)

自分の意見は日本のやり方(日本ではそんなふうには言わない)ですから、
反対意見とは学生の国のやり方(学生の国ではそんなふうに言う)になります。

反対意見に配慮した再現答案は以下のとおりです。

「もっとも、ささやかなものですがと言いなさい等と強制するわけではない。ホストマザーに言われてびっくりしているということは学生の国では異なった考え方をするのであろう。」

「言われてびっくりしました」という問題文の言葉を解釈(記述問題第4条)して「学生の国では異なった考え方をするのだろう」という反対意見を示しました。
その反対意見に配慮しているのが、
「ささやかなものですがと言いなさい等と強制するわけではない。」
という部分です。

じゃあ、具体的にどうするんですか?

記述問題第5条【抽象論・一般論に加え、具体論・個別論も書く】の登場です。

以下、再現答案を最後まで書きます。

「その点に配慮するため、まず私は、学生の国のやり方について聞いてみたい。日本のマナーと学生の国のマナーの違いについて、マナーの元となった価値観について、学生と話し合ってみたい。そのほうが一方的なアドバイスよりも、学生にとって受け入れやすいはずだ。私も異文化を学ぶことで教師として成長できる。」

学生の意見にも耳を傾ける心の広い人間であることをアピールするとともに、
常に学ぶことを忘れない意識の高い教師であることも採点者にアピールしています。

※上記再現答案は、直前期に書いた平成27年度の記述式問題【ディベート】の影響が現れていますね。

前回の再現答案とつなげた全文は以下のとおりです。


 贈り物をするときは物を褒めないほうが良いというアドバイスを私はする。日本で暮らしやすくするためだ。ホストファミリーのお母さんも同じ理由で、学生に忠告したと推測する。謙遜を良しとする日本において、お土産を渡す際に自ら「高級な物」と主張するのは無礼な表現だからだ。特に、目上の人に対しては使うべきではないので、そうアドバイスする。 
 もっとも、ささやかなものですがと言いなさい等と強制するわけではない。ホストマザーに言われてびっくりしているということは学生の国では異なった考え方をするのであろう。その点に配慮するため、まず私は、学生の国のやり方について聞いてみたい。日本のマナーと学生の国のマナーの違いについて、マナーの元となった価値観について、学生と話し合ってみたい。そのほうが一方的なアドバイスよりも、学生にとって受け入れやすいはずだ。私も異文化を学ぶことで教師として成長できる。

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平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題1は【授受動詞と待遇表現】でした。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題1は【可能表現とラレル】です。

問1 動詞の形態が変わるのに合わせて格関係も変わる表現の例として不適当なものを選ぶ問題です。
各選択肢の動詞を辞書形(ル形)に戻してみます。

1,彼は背中に大きなリュックを背負う。
2,太郎は遠くの雷の音聞く。
3,部下が企画書作る。
4,机の上に荷物置く。

1,だけ格関係が変わっていませんので、1が正解であると思料します。


問2 格関係が変わらない「ラレル」を選ぶ問題です。
具体例を作って検討します。

【自発】
過去問を解説した日々思い出す。→過去問を解説した日々思い出される。

【直接受身】
飼い猫噛んだ。→僕飼い猫噛まれた。

【尊敬】
来た。→猫様来られた。

【尊敬】だけ格関係が変わっていませんので、3が正解であると思料します。


問3「ら抜き言葉」に関する問題です。

五段活用の動詞は、下一段活用の動詞に変化することで、可能動詞になります。
例)飛ぶ→飛べる 書く→書ける 行く→行ける

一方で、一段動詞で可能の意味を表すには、「ラレル」と使わければならないとされてきました。
例)食べる→食べられる 見る→見られる 出る→出られる

しかしながら、問2で確認しましたように「ラレル」には、自発・受身・尊敬という意味もありますから、「ラレル」が可能の意味を表しているのか、他の意味を表しているのか判別し難い場合があります。
例)先生はタイ料理を食べられた。
→可能(辛くて食べることができないかもと思っていたけれど食べることができた)なのか尊敬なのか、分かりません。

どうしましょう?
一段動詞でもレルを使って、五段動詞みたいに可能動詞化してしまえば、他の意味はないから分かりやすいぞ!
例)食べる→食べれる 見る→見れる 出る→出れる
例)先生はタイ料理を食べれた。
→先生はタイ料理を食べることができた、という意味が明確になりました。

文法的に正しくないと言われ、「有識者」の方々から「若者の言葉の乱れ」であると苦言を呈されてきた可哀想な「ら抜き言葉」ですが、実際は上の通り「ら抜き言葉」のほうが合理的なので、次第に優勢となり、最新(2015年度)の文化庁【国語に関する世論調査】では、とうとう「ら抜き言葉」が多数派となったようです。

The Huffington Post「ら抜き言葉」使う人がついに多数派に 「おk」「うp」も文化庁が調査してみると...

以上より、正解は4であると思料します。

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題1は【可能表現とラレル】です。

問4
日本語の可能表現は動作主体による実現能力を表す場合に使えます
例1) 私はロシア語が話せます。

日本語の可能表現は動作主体によらない実現能力を表す場合には使えません。
例2) この薬を飲めば、病気はすぐに治れますよ。☓
→動作主体ではなく薬の実現能力。

しかし、動作主体によらない実現能力を表す場合にも可能表現が使える言語もあります。
可能表現が使える範囲は言語によって異なっており、これに起因する学習者の誤用(母語の干渉負の転移)が見られます。
その例を選べという問題ですから、正解は2であると思料します。


問5 動作対象の性質による可能を表す用法の例を選ぶ問題です。
動作とは、事を行うために体を動かすこと。(スーパー大辞林3.0)
対象とは、はたらきかけの目標や目的とするもの。めあて。(スーパー大辞林3.0)
性質とは、①その人に生まれつき備わっている気質。②他のもとと区別しうる、そのもの本来のありかた。(スーパー大辞林3.0)

1,「網棚」の性質による可能を表していますが、「網棚」は動作の目的地であり、動作対象は荷物です。
動作→置く
動作の対象→荷物

2,「この店の席」の可能を表していますが、「この店の席」は動作対象ではありません。
動作→吸う
動作の対象→タバコ

3,「この本」の性質による可能を表しており、「この本」は動作対象です。
動作→読む 
動作の対象→この本

4,泳ぐは自動詞なので動作対象がありません。
動作→泳ぐ
動作の対象→なし

以上より、3が正解であると思料します。

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