日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

カテゴリ:平成28年度日本語教育能力検定試験問題の解説 > 試験Ⅰ

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題8は、【異文化適応のプロセス】です。

問5「ソーシャルサポート」に関する問題です。
スーパー大辞林3.0によると、
ソーシャルサポート(社会的支援)とは、ある個人が社会的ネットワークから受けるさまざまな形の支援・援助。問題解決のために必要な資源を提供する(お金を貸す、情報を提供する、仕事を手伝うなど)道具的サポート、情緒面に働きかける(共感する、慰める、勇気づけるなど)情緒的サポートなどがある。

ソーシャル・サポートは、平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10【留学生アドバイジング】でも出題されています。

1, 平成26年度試験Ⅰ問題10の問4にも同じ問題がありました。他国出身者も留学生へのサポートの与え手となりえます。

2,渡航直後もソーシャルサポートになると思います。

3,ソーシャルサポートは、情動的サポート道具的サポートに大別されるそうです。各用語に意味は、平成26年度解説をご参照ください。

4,親や兄弟など家族による援助も、ソーシャルサポートの一種かと存じます。

以上より、正解は4と思料します。 

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9は、【文章理解の過程】です。

問1「ワーキングメモリ」に関する問題です。
ワーキングメモリ(作業記憶)とは、思考や判断などの際に必要な情報を一時的に保持・処理する記憶機能。短期記憶の一種とされる(スーパー大辞林3.0)。

1,目や耳から入ってきた情報を1/2秒程度保持する記憶というのは、感覚記憶のことでしょうか。 

「短期的な情報の保持と情報処理に用いられる」
4が正解であると思料します。


問2「推論」の一種である「橋渡し推論」に関する問題です。
橋渡し推論については、平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9【文章理解と予測の役割】平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11【言語理解の過程】などで出題されています。


日本語教育能力検定試験に合格するための用語集
 
日本語教育能力検定試験に合格するための用語集78頁によると、
橋渡し推論は、明示的には述べられていない部分を埋める推論。
精緻化推論は、読んだり聞いたりした内容を深く理解するための推論。

1,「花瓶を落とした」→「弁償することになった」
明示的には述べられていない部分である「花瓶は割れた」を推論で理解していますので、橋渡し推論であると思料します。
よって、正解は1です。


問3 文章の理解度に関わる「読みの過程で行われるモニタリング」に関する問題です。
で、「読みの過程で行われるモニタリング」という言葉がしっくり頭に入ってこず、この問題は少し悩みました。
よくわからないので、キーワードに注目しました。モニタリング。
モニタリングとは、状況を監視すること(スーパー大辞林3.0)。
ということは、監視以上のことをしている、選択肢3と選択肢4が消去できます。
また、自分が外国語の文章を読むときのことを考えてみるに、いちいち「文章中の表現を母語と比較して、違いや類似点を確認」したりはしないな、と思い至りました。
よって、2が正解であると思料します。


問4
形式スキーマと内容スキーマについては、
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9【文章理解と予測の役割】でも問われています。

『研究社日本語教育事典』105Lによると、
形式スキーマ(フォーマルスキーマ)は、テキスト形式、修辞、構造に関する知識。
内容スキーマ(コンテントスキーマ)は、テキスト内容の背景知識。

1,談話展開といえば、会話の組み合わせ(構造)が思い浮かぶので、形式スキーマではないかと存じます。

2,文字に関する知識。
例えば、「被告」という文字に関しては、訴えられた人という意味だな、という知識があります。テキスト内容ですから、内容スキーマではないかと存じます。

3,専門用語に関する知識。
例えば、「被告」という言葉に関して、法律用語としては民事訴訟で訴えられた人のことであり、刑事訴訟では「被告」である、という専門用語に関する知識は、テキスト内容に関することなので、内容スキーマではないかと存じます。

4,文化・社会に関する知識
マスコミが刑事「被告人」のことを「被告」と呼ぶため、「被告」=犯人、悪い、というイメージが社会に浸透してしまい、民事で訴えられた人が「なんで私が被告なんですか!私は潔白です!」と裁判官に怒りを表している場面を見たことがあります。誰でも過失がなくても民事で訴えられれば「被告」になりうるのに、日本の文化・社会では「被告」は悪い、という認識なんですね、というような文化・社会に関する知識は、テキスト内容の背景知識なので、内容スキーマといえるのではないでしょうか。

以上より、正解は1であると思料します。


問5「ボトムアップ的な読み」を行う際のストラテジーの例として不適当なものを選ぶ問題です。
ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』247頁の図がとても分かりやすいです。同本246頁によると、

トップダウン処理では、理解対象の周辺的な情報(文章のタイトルや挿絵、会話の相手の表情や場の状況など)から、理解に先立ち予測や推測を行い、理解の過程でその仮説検証を行い、それが正しかったかどうかの照合(マッチング)を行う。

ボトムアップ処理では、理解対象の中に含まれる部分的な情報(文字、音声、語句、文など)から理解を進め、その理解を積み重ねて情報全体を理解しようとする。

母語話者は、トップダウン処理とボトムアップ処理を無意識のうちに適切に使い分けており、これを補償モデルという。

3はスキミングです。ボトムアップ的な読みではないと存じます。
よって、3が正解です。

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10は、【第二言語習得】です。

問1
臨界期仮説は、言語習得には臨界期(クリティカル・ピリオド)が存在するという仮説で、言語習得が容易になされる時期は、生後から思春期までの間とする(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』262頁)。 

よって、4が正解です。


問2「フィードバック」の一種である「リキャスト」に関する問題です。
リキャストは、誤りを明示的に示さずに正しく言い直すフィードバック。自然なコミュニケーションの流れを止めないため、コミュニカティブな教室では最も使いやすいフィードバック。フォーカス・オン・フォームの一つの方法(日本語教育能力検定試験に合格するための用語集95頁)。

よって、 2が正解です。


問3
ブルックリンあおぞら学園のウェブサイトによると、
バイリテラルとは、二言語をただ理解するだけではなく、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4領域すべてで両言語が同等にしっかり出来る事を意味します。

よって1が正解です。


問4
敷居仮説(Thresholds Theory)は、バイリンガリズムの程度と認知との関係をまとめた理論(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』(以下、ガイド本といいます)272頁。ガイド本273頁にわかりやすい図があります)。
平成25年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの解説 問題8の問5にも敷居仮説は登場しています。

二言語基底共有説(氷山説)は、バイリンガリズムを2つの氷山に例え、2つの言語は表面的には異なっていても、両言語とも同じ処理システムを通じて機能しているとみなす。話すこと、聞くこと、読むこと、書くことをともなう思考は同じ中央の装置からきており、2つ以上の言語を持つ場合でも、統合された思考の源が1つ存在すると考える(ガイド本272頁)。

日本語教育能力検定試験に合格するための用語集(以下、用語集といいます)101頁によると、
生活言語能力(BICS)は、日常的な生活のコミュニケーションに必要な言語能力。1〜2年で身につく。
学習言語能力(CALP)は、学習に必要な言語能力。読み書きや複雑なディスカッションにかかわる言語能力。年齢相応のレベルに達するのに5〜6年かかる。

以上の知識をもとに検討します。
問題文は、母語と第二言語の言語能力について説明しているので、(ア)には、二元語基底共有説(氷山説)が入ることが分かります。
問題は、(イ)です。
BICSのほうが短期間で身につくことを考えれば、共有しているのはBICSではないか、という結論に至りそうです。

ですが、ここで思い出してほしいのです。
あの過去問の存在を。
そう、
平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題9【第二言語習得】の問5です。
この問題では、選択肢3が正しいというのが公式解答です。
選択肢3「CALPは母語で発達していると、第二言語でも発達しやすくなる。」

どういうことか?
子どもの第二言語学習は、日常的な会話(BICS)ができるようになるのは大人より早いですが、抽象的な文章を読んだりする(CALP)のは苦手です。一方、大人の第二言語学習は、日常的な会話(BICS)では子どもに負けるかもしれませんが、外国語で難しい本を読んだりするのは、子どもより先にできるようになります。大人のほうが、CALPが発達しており、CALPは母語と第二言語で共有するからです。

以上より、3が正解であると思料します。


問5「最近接発達領域(ZPD)」に関する問題です。
心理学者ヴィゴツキーが唱えた、最近接発達領域(ZPD)とは、まだ一人ではできないが、他者のサポートを受ければできる領域のことなので、正解は2であると思料します。

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題11は、【方言と言葉の変種】です。

問1
1,階層方言という言い方はあるのでしょうか。初めて見ました。
2,社会方言については、 位相語と方言の違いをご参照ください。
3,4,ネオ方言と新方言については、ネオ方言と新方言の違いをご参照ください。 

年齢や性差などの観点から言葉の差異を捉えたのは、社会方言と思料しますので、正解は2です。


問2 「若者言葉」を使用する目的に関する問題です。
3,逆ではないでしょうか。理性よりも感覚に訴えるため。
よって、3が正解であると思料します。


問3
日本語教育能力検定試験には大好きなキーワードがいくつかありますが、そのうちの一つがダイクシスで繰り返し繰り返し問われています。
ダイクシス(直示)とは、発話された場面によって意味が決まるもの。
詳しくは、 平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題4【直示(deixis)】をご参照ください。

よって、正解は1です。


問4「隠語」の例を選ぶ問題です。
2,「犯人」を意味する「ホシ」は刑事ドラマでも有名です。
2が正解です。


問5「特定の人物像を想起させる言葉」(役割語)の例を選ぶ問題です。
1,「わがはい」は知的階級の男性を想起させます。なのに、実際は猫であるというギャップが『吾輩は猫である』の面白さかと存じます。
正解は1です。

 

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題12は、【文化的価値感】です。

問1「サピア・ウォーフの仮説」に関する問題です。 
サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)とは、ある言語とその言語の話し手である人間の思考の関係に関する仮説で、強い仮説と弱い仮説がある。
強い仮説「人間の思考は言語によって決まる」
弱い仮説「言語の違いが話者の思考や外界認識に影響を与える」(以上は、ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』28頁より) 

よって、正解は3です。 


問2  日本語には単純語レベルで「コメ」「イネ」「メシ」という区別がありますが、同様の例を選ぶ問題です。

単純語とは、 単語のうち、意味・語形の上からそれ以上に分けることができないと考えられるもの(スーパー大辞林3.0)。

複合語(合成語、熟語)とは、単語のうち、意味・語形の上から二つ以上の単語の結合によってできたと認められる語。「朝日」「買い物」「花見」「祝い酒」「書き込む」の類(スーパー大辞林3.0)。

派生語とは、単語のうち、ある単語に接辞などが付いたりしてできた語。

1,「雲」の名称には形状に応じた語彙はありますが、複合語です。
例)積乱雲

2,「牛」の名称には家畜としての用途に応じた語彙がありますが、複合語です。
例)乳牛

3,「魚」の名称には成長過程に応じた語彙があり、単純語です。
例)ハマチ→ブリ

4,「火」の名称には用途に応じた語彙がありますが、複合語です。
例) 焚き火

以上より、3が正解です。


問3 すべての親族名称が単純語レベルで同じ区別を持つとは限りません。英語と日本語で区別の仕方が異なる親族名称……といえば、ブラザー、シスター、が思い浮かびます。
よって、ブラザーの4が正解です。


問4 日本語の慣用句で用いられる色彩語に関する問題です。
1,「黒い」は悪いことを意味する→腹黒い

2,「赤い」は明るい前途を意味する→?

3,「青い」は未熟なさまを意味する→青二才

4,「灰色」は暗い様子を意味する→灰色の空、灰色の海

よって、2が正解です。


問5 忌み言葉と呼ばれ、別の表現に言い換えられることもある例を選ぶ問題です。
スーパー大辞林3.0によると、
忌み言葉とは、①…信仰上の理由や、特定の職業・場面で使用を避ける言葉。不吉な意味の語を連想させる言葉が多い。例えば婚礼の際の「去る」「切る」「帰る」「戻る」「別れる」、お悔やみの際の「重ねる」「重ね重ね」「返す返す」「再び」など。
②…①の代わりに使う言葉。結婚式で「終わる」を「お開きにする」という類。 

以上より、 正解は3です。

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