日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

カテゴリ:平成29年度日本語教育能力検定試験の対策 > 簡単に書ける記述問題対策

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苦手な人のための記述問題対策には書かなかったのですが、
とても大事なことを、ふと思い出したので追記させてください。 

受験生の中には下記のような本を使って、多くの記述式問題を解いた方がおられると思います。

改訂版 日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40
 
先に申しておきますと、この本について、賞賛したり、批判したりするわけではございません。読んでおりませんので、そんな資格はございません。

私が言いたいのは、
記述問題対策をやりすぎると、その知識に引っ張られて本試験の記述問題で失敗する恐れがある
ということです。

旧司法試験では、10年以上受験を続けているベテランの方がたくさんいらしたのですが、
ベテランの方々が陥る罠がまさに、
知識に頼って論文を書いて自滅する 
だったのです。

大学の講義でも経験ありませんか?
偉い学者さんの書いた基本書にもありませんか?
難しすぎて細かすぎて何言ってるか分からないや、
というものが。

全て同じ過ちを犯しています。

読み手(受け手)ではなく、自分中心で書いているのです。

知識がありすぎる状態で、本試験の記述問題に取り掛かると、
「ああ、この問題は前にも見たな。あれと同じように答案を書けばよいぞ」
「やった! これ予備校でやったやつとほぼ同じだ! 同じように書けば楽勝!」
などとつい考えてしまいます。
そのまま答案を書き始めると、失敗する可能性大。

なぜか?
問われていることが、微妙に異なっているからです。

例えば、
日本語クラスでディベートを取り入れるというテーマの記述問題でも、

「平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題17」
のような問い方と、

「日本で働きたい留学生に日本のビジネスマナーを理解してもらうため、ただ知識を教えるのではなく、日本のビジネスマナーの是非について、ディベート形式で議論してもらうのはどうか」
みたいな問い方では、

解答の書き方が、全然違いますよね?

ところが、知識に頼りすぎると、
「おっしゃ。以前やったディベートの話だ。同じように書けば余裕」
なんて考えて、失敗するのです。

唐突に、自慢させて頂きます。
私は大学4年生のときに旧司法試験に受かりました。
ベテランの受験生に比べて圧倒的に知識が足りなかった私が生み出した論文対策が、
問いに始まり、条文につなげ、あとは適当に書く」
というものでした(司法試験の論文試験では司法試験用六法が使えます)。
「問いの言葉」と「条文の言葉」で答案を埋めて、知識の足りなさをカバーするのです。
この書き方には、思わぬ利点がありました。
既有知識に頼らないので、ストレートに問いに対応できるのです。
だから今回、日本語教育能力検定試験の記述問題対策を書くにあたっても、同じようなやり方が有効なのではないか、と思ったのです。
日本語教育能力検定試験では六法が使えませんから、
「問いの言葉」しかありませんが。

知識に頼る前に、
問いに頼ってください。

問いに応えてください。
問題文の言葉をなるべく使ってください。

そうすれば、相手に伝わる答案が書けるはずです。

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記述試験のときは、受験生という立場を忘れてください。

自分が、問題作成者・採点者になった気持ちで臨んでください。

どうしてこんな問題を日本語教育能力検定試験の記述問題として出題したのだろう。
この言葉が使われているのはどうしてだろう。

自分が採点者だったら、どんなことを評価するだろう。
どのように書けば採点しやすいだろう。伝わるだろう。

問題作成者・採点者の気持ちを頭に入れた状態で問題文を読み、解答を書いてほしいのです。

そうすれば客観的な視点で自分の答案を眺めることができます。

自分とは離れた視点から文章を組み立てることが、論理的な文章を書くコツだと私は思います。

これが第6条【問題作成者・採点者の気持ちになる】の意味です。

そうだ。
忘れるところでした。
JEESのウェブサイトに、出題者の言葉を見つけましたので、ここに引用します。

『記述問題は、前回(平成15年)の試験改定時に示された「日本語教育は広い意味でコミュニケーションそのものである」という観点から、論理性と日本語力を測るものとなります。測定の対象となるのは主張の正当性ではありません。主張を正確に説得力をもって相手に伝えられるかどうかを、書記言語の側面から測定します。』(日本語教育能力検定試験「よくある質問」より)

読み手の視点で取り組めば、自分の主張を相手に伝えられる文章が書けると思います。
反対説の根拠に配慮して、抽象論と具体論、二つの観点から論じれば、説得力を持った文章が書けると思います。



最後に、今までの記事でお伝えしきれなかったポイント・重要なので繰り返したいポイントをまとめて、記述問題対策を終えたいと思います。

1,問題文に印をつける
問題文を読んだときに、①使えそうなキーワード、②問われていること、この2点は必ず線を引くなり、丸で囲むなりして、印をつけてください。
なぜか?
何を書くか、構成を考えているうちに忘れてしまうからです。
特に問いが複数あるときは、一つの問いのことを考えている間に、別の問いのことを忘れてしまいがちなので、必ずマークをつけて、1,2,と数字を書き込んでおくことを強くオススメします。

2,記述問題で一番大事なのは書き出し
書き出しを制するものは記述問題を制します。
記述式試験に苦手意識のある方は、公式解答のような書き方を真似しないでください。問題文の問いの言葉を使って自分の意見を書いてください。書き出しを誤ると、問いからずるずる離れていく恐れがあります。
問いの言葉を使って、問いに対応させましょう。

3,最後のまとめは字数調整に使う
市販されている論文(記述式)問題の書き方には、冒頭に自分の立場を述べ、最後も自分の立場を主張して締めるというサンドウィッチ構成を推奨しているものが多いと思いますが、日本語教育能力検定試験の記述問題においては、最後のまとめ(自説の再主張・問いへの再回答)は、必須とは思いません。
なぜか?
字数が足りないからです。
たった400字しかないのに、書くべきことは多いので、最初と最後、二度も自説を書くスペースはなかなか作れません。
平成27年度記述問題の公式解答も、一段落目でサブの質問に対する自説の主張、二段落目で反対説。三段落目でメインの質問に対する自説の主張という構成になっており、サンドウィッチ型ではありません。
私がオススメした、苦手な人でも簡単に高得点が狙える記述問題の書き方は、冒頭で自分の立場を書きます。最後のまとめは、字数が余れば、問いに対応する形で書いてください。

私の解答例で説明すると、

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。
 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。普段とは異なった視点で物事を考えなければならないからだ。
 しかし、それこそがディベートの目的である。自分と違う意見を述べるには、まず自分を理屈で納得させなければならないので、いつもと違う視点から深く考えなければならない。すると、物事を多角的に見る力が身につき、論理的思考能力も高まるのである。日本語クラスにいるであろう他文化の人間との交流にも役立つはずだ。
 もちろん、学習者の申し入れに対する配慮も考えたい。例えば、最初の授業では自分と同じ立場で立論させる。そのかわり、次の授業では反対の立場に立たせる。「自分で自分の意見を論破できるかな?」というのは面白そうで受け入れられやすいのではないか。
 以上のとおり、今後このクラスでの活動を進めていきたいと考える。』

太字が今回追記した最後のまとめ(自説の再主張・問いへの再回答)です。
これを入れると確かにまとまりが良いですし、問いに応えていることがより明確になるのですが、なにせ字数が400字しかありませんから、スペースがなければ省略可、と考えます。


以上で記述問題対策は、終わります。
短い間でしたが、お付き合いありがとうございました。

明日は、当日直前にチェックすべきポイントの記事を書いて、本試験前最後の更新にしたいと考えております。

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お待たせしました。

日本語教育能力検定試験Ⅲ 記述問題の書き方その5は【抽象論・一般論に加え、具体論・個別論も書く】です。

夜も遅いですから、今回はさっそく平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題17(記述問題)を使って、具体的に説明したいと思います。

前回までに書いた答案は以下のとおりです。

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。
 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。普段とは異なった視点で物事を考えなければならないからだ。』

このあと何を書きましょうか?

自説→その理由→反対説→その根拠→?

ときたら……


もちろん。
反対説の根拠を叩くのです。
反対説(の根拠)を潰すことで、自説が補強できます。

お好きなように反対説を鞭打ってください!
私は以下のとおり書きました。

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。
 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。普段とは異なった視点で物事を考えなければならないからだ。
 しかし、それこそがディベートの目的である。自分と違う意見を述べるには、まず自分を理屈で納得させなければならないので、いつもと違う視点で深く考えなければならない。すると、物事を多角的に見る力が身につき、論理的思考能力も高まるのである(←メインの問いに対する答えを論じながら、サブの問いに対する答えも補強しています)。日本語クラスにいるであろう他文化の人間との交流にも役立つはずだ。』

いけない。
記述問題対策を説明していたのを忘れて、最後まで書いてしまうところでした。
とりあえずここまでにいたします。
読み返して思ったのですが、無駄に字数を使いすぎていますね。
「普段とは異なった視点で物事を考えなければならない」
「いつもと違う視点で深く考えなければならない」
このあたりが重複しています。
完璧を求めるならばどちらかを削除して、論旨をスッキリさせたいところですが、
記述問題で大事な考え方の一つは、
完璧な答案を書こうとは思わないこと
なので、これでよしとします。

完璧な答案を書こうとすると、書けなくなってしまう・時間が足りなくなってしまうことが多いので、記述対策前三条で基礎を固めたあとは自由に書くことが大事なんですね。
多くの人が不十分な基礎固めさえしっかりできていれば、高得点は狙えます。
と言っても指針は必要だ。
そんなわけで、第5条の登場です。

【抽象論・一般論に加え、具体論・個別論も書く】

上記の答案を見てみると、抽象論・一般論・理想論が多いですね。
論理的思考能力が高まるだの、多角的な視点だの。
もちろん、抽象論・一般論も大事なんです。
しかし、それに加え、具体論・個別論という異なった視点から自説を補強することで、さらに説得力が増すんですね。
ここでも多角的な視点が大事なんです。

何も考えずに書いていると、抽象的なことばかり書くか、具体的なことばかり書くか、どちらかになりがちなので、第5条があります。

本問のように問題文が長い場合、自説を補強するための抽象論か具体論、いずれかのキーワードが問題文に紛れ込んでいることが多いのですが、この問題では前者です。

自説は、「ディベートを取り入れる」ということですが、
その抽象的(一般的)理由付け「論理的思考能力を高める」という文が問題文にありました。
問題文の言葉をなるべく使っていった結果、抽象論に偏っていました。
なので最後は具体論を書いて、バランス良く締めたいと思います。
ちなみに、さきほど書いた最後の一文は、ちょっと具体的ですね。

日本語クラスにいるであろう他文化の人間との交流にも役立つはずだ。』

ここでも問題文の言葉(太字部分)をさりげなく使って、問題文をしっかり読んでいることを採点者にアピールしました。
ただし、問われていることとは離れているので、字数が足りなければ削除すべき部分です。

さて、
最後の段落を書くにあたって、
一つの指針は具体的に書くことですが、
実はもう一つ、書くべきポイントがあります。
それは何でしょうか。
お考えの上、続きをお読みください。
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日本語教育能力検定試験Ⅲ 記述問題の書き方その4は【問題文の言葉を解釈する】です。
※「評価を加える」だとニュアンスが違う気がしたので、「解釈する」に変更しました。

そろそろ疑問を抱いた方が、おられるかもしれません。

誰でも簡単に高得点が狙える記述式問題の書き方を教えると言っておきながら、その解答は問題文をコピペしてるだけじゃないか。こんなんで高得点が狙えるのか?」

安心してください、狙えます。

大学の入学試験に始まり、会社の採用試験、教職員採用試験、司法試験、日本語教育能力検定試験など、様々な分野の試験において、記述式問題は登場します。
私は全ての分野の記述式試験を把握しているわけではありませんし、日本語教育能力検定試験の(模擬)記述式試験を添削したことはありません。
しかし、いくつかの分野の記述式問題を仕事あるいは個人的に添削させて頂いたことはあります。
共通して言えるのが、問いに応えている答案が少ないということ。
苦手な方が書く記述答案は問いに対応していないのです。
「問いに答えてください」と初めは抽象的に指摘していたのですが、それでは効果がありませんでした。
苦手な方は「問いに答えるとはどういうことか」が分かっていなかったのです。
そこで私が生み出したのが、1行目は問題文の問いの言葉をそのまま使って答えを書くこと。2行目以降も問題文の言葉をなるべく使うこと。
この具体的な指導によって、記述式問題が苦手な方でも問いから離れることは少なくなりました。

問題文の言葉をコピペすることで、土台が固まったからです。
しかし、問題文の言葉を書き写すだけだと字数が足りませんし、
「コイツ何も考えていないんじゃないか?」
と採点者に思われてしまいます。
そこで、固めた土台の上に自分の考えを築くのです。

「苦手な人でも簡単に書ける、パターン化できると言っておきながら、結局自分の考えを書けかよ、それが苦手なんだよ」
と思った方もおられるかもしれません。

安心してください、すでに土体はあるのです。

苦手な方が今まで書けなかった、書いても点数が伸びなかったのは、目印も何もない広大なグラウンドに、いきなり自分の力で家を建てようとしたから失敗したのです。
最初から自分の考えを書くのではなく、まずは問題文の言葉を尽くして答案の方向性を定める点がこのメソッドのポイントです。

1,問いに応える。
2,問題文の言葉をなるべく使う。
3,反対意見(の根拠)に配慮する。

この3点で組み立てたのは堅固な土台ですから、よほどのことを書かないかぎり問いから外れることはありません。今こそ、あの言葉を思い出してもいいかもしれません。

 『こう書かなきゃ、なんて思わず、採点者をおもしろがらせたいという気持ちで、創意工夫を凝らしてみてください!』
石黒圭教授(平成28年度日本語教育能力検定試験 合格するための本の記述式問題162頁)の御言葉です。

自信がなくても、思いついたように書けばいいのです。すでに解答の枠は作ったので、その中で好きに遊べばいいのです。
とは言っても指針は必要だ。
そんなわけで、残りの三条があります。

記述問題対策第4条【問題文の言葉を解釈する

どういうことか?
例によって平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題17(記述問題)を使って、具体的に説明します。

前回までに書いた答案は以下のとおりです。

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。
 確かに、自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは、精神的に苦痛かもしれない。』

反対意見まで書きましたので、さっそく反対意見を解釈しましょう。

この反対意見は学習者から出たのですが、どうして学習者は「自分の考えとは違う立場で意見を述べるのは精神的に苦痛」だと感じたのでしょうか?

考えた後、続きをお読みください。
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日本語教育能力検定試験Ⅲ 記述問題の書き方その3は【反対意見の根拠に配慮する】です。

自説とその理由付けを簡潔に書いたら、次は、反対説へ配慮しましょう。
自分が柔軟で心の広い人間であることを採点者にアピールするのです。

例によって、平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題17(記述式問題)で具体的に説明します。
前回までの記述式問題対策で、

『私は今後もこのクラスでの活動にディベートを取り入れたい。論理的思考能力を高めるにはディベートが必要だと考えるからだ。』

まで書けました。
次に、反対説を書くのですが、
この問題では何が反対説になるでしょうか?



答えを考えた後、続きをお読みください。
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