日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

カテゴリ:平成25年度日本語教育能力検定試験問題の解説 > 試験Ⅲ

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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題1は【ヴォイス(受身・自発・可能・使役)】です。

問1
日本語の受身の特徴は、他動詞だけでなく自動詞も受身文になることなので、正解は1です。


問2 「間接受身」や「迷惑の受身」の例として不適当なものを選ぶ問題です。
1,しかられるのは嫌だから「迷惑の受身」だな、と考えたら、問題作成者の罠にはまっています。
「間接受身(迷惑の受身)」とは、能動文に戻したとき、受身文の「ガ格」を消せる文のことです。そこで、各選択肢を能動態に戻します。
1,母親が花子をしかった(「花子」消せません)→直接受身です。
2,妹が先に帰った(「花子」消えました) 
3,飼い猫が手を引っ掻いた(「花子」消えました) 
4,弟が玄関の鍵をかけた(「花子」消えました)  
よって、正解は1です。


問3「複文で同一主体について述べる文」の例を選ぶ問題です。
複文の定義については、試験Ⅰの問題3のDに出てきました。例によって再登場です。
複文とは述語が複数ある文のことなので、
「複文で同一主体について述べる文」とは、「複数ある述語が同じ主体」ということです。
1,(述語1)「表彰された」の主体は田中さんですが、(述語2)「パーティーを企画しよう」の主体は、田中さんではありません。
2,(述語1)「褒められた」の主体は彼です。(述語2)「ぐっと伸びるタイプではないか」の主体も彼です。
3,(述語1)「紹介される」の主体は店です。(述語2)「殺到した」の主体は客です。
4,(述語1)「注目され」の主体は子どもです。(述語2)「嬉しい限りだ」なのは親です。
よって、正解は2です。


問4 可能は、能力可能状況可能に分類される。可能の格表示は3通りある。しかし選択肢は4つなので、偽物が混じっているようです。具体的に文を作ってみます。

1,[N1にN2を〈可能表現〉]
「彼にネコ語を話せる」☓
主格保持の原則(文は少なくとも一つの主格名詞節を含んでいなければならない)に反しています。

2,[N1がN2を〈可能表現〉]
「彼がネコ語を話せる」○

3,[N1にN2が〈可能表現〉]
「彼にネコ語が話せる」○

4,[N1がN2が〈可能表現〉]
「彼がネコ語が話せる」○
※「ガ格」が続くと美しくないので、通常は「彼はネコ語が話せる」「彼がネコ語を話せる」などに言い換えますが、文法的に誤りというわけではありません。

よって、正解は1です。

青木ひろみ『可能表現の対象格標示ガとヲの交替』(世界の日本語教育18, 2008年6月 135頁)に詳しい説明があります。


問5 使役だけれど「強制的に何かをさせる」という意味合いが薄い例として不適当なものを選ぶ問題です。
1,強制的に追加のレポートを出させているので、1が正解です。
 

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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題2は【学習段階に応じた学習内容】です。

問1 学生が教師に対して用いることのできる「対人的配慮を表す表現」例を選ぶ問題です。
1,目上の人に願望を直接尋ねるのは失礼です。「料理はいかがですか」 はどうでしょう。
2,目上の人にできるかどうか尋ねるのは失礼です。
3,上から目線です。
4,特に問題はありません。
よって、4が正解です。


問2
3,推量の「だろう」なので、「不確かさを表すモダリティ表現」です。
よって、3が正解です。


問3 多義表現「〜てくる」に関して、話し手の心情を表す用法の例を選ぶ問題です。
1,実際に息子が帰って「来た」のであって話し手の心情を表しているわけではありません。
2,実際には、ライバル会社は発表しただけ(発表はこっちに来ない)なのに、それを、発表して「来た」と表現するのは、心理的な意味を表しています。
3,実際に空が明るくなって「来た」ので、 話し手の心情を表してはいません。
4,実際に食べ物が送って「来た」ので、話し手の心情を表してはいません。
よって、正解は2です。


問4 
選択肢の中で一番使うのが難しそうなのは、3「〜させられる」使役表現(動詞の活用によって「せる」「させる」と異なるなど、ルールがたくさんある)なので、正解は3です。


問5
「Nはありません」「Nはないです」を比較した場合、「綺麗な」日本語として教科書に載っていそうなのは「ありません」です。しかし、実際の生活を振り返ってみると、「ありません」という言葉を耳にすることはあまり「ないです」。自分も「ありません」より「ないです」を多用しています。
よって、正解は1です。
 

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平成25年日本語教育能力検定試験Ⅲの問題3は【マニュアル敬語】です。

問1 
1,タ系は、過去や完了を表します。完了を表す動的述語タ形もあれば、過去を表す静的述語のタ形もあります。静的述語のテンスについては『中上級を教える人のための日本語ハンドブック』74頁に詳しい説明があります。
(「食べる」動的述語のタ形の例)…もう晩ごはん食べた? (完了)
(「いる」静的述語のタ形の例)…昨日はネコカフェにいた。(過去)

2,動作動詞(動的述語)のル形は未来を表し、存在動詞(静的述語)のル形は現在を表します。
(動作動詞のル形の例)…明日、食べる。(未来)
(存在動詞のル形の例)…ネコカフェにいる。(現在)

3,従属節のテンスは相対テンスです。試験Ⅰの問題2(3)にも登場しました。

4,従属節のテンスは、試験Ⅰの問題2(3)の解説のとおり、主節時が基準となっています。

 よって、正解は2です。


問2
1は有名なバイト敬語ですね。よって正解は1です。


問3
おかしなバイト敬語として耳にしたことがある言葉を探すと、「ほう」「〜になります」の組み合わせが見つかりますので、2が正解です。
詳しくは、NAVERまとめ 不快感を与える6つの接客用語をご参照ください。


問4
1,敬語には、文中に登場する人物に用いる敬語(素材敬語)と聞き手に対して用いる敬語(対者敬語)があります。
2,「行く」「来る」「いる」は尊敬語になった場合、「いらっしゃる」になり得るので、それだけでは意味の判別が難しくなることがあります。
3,現代日本語の敬語は相対敬語です。逆に、韓国語は絶対敬語なので、外の人と話すときも話し手の身内に対して尊敬語を使います。
4,美化語は上品な言い方という位置づけであり、だれかへの敬意を示しているわけではありません。
よって、正解は3です。


問5「お値段、サービスさせていただきます」を誤用とする立場の根拠として最も適当なものを選ぶ問題です。
1,「させていただく」は本来、話し手の利益となる行為に用います。「お値段をサービスする」のは相手の利益に行為なので用いるべきではありません。
正しい用い方の例…(猫様に対して)「お腹を撫でさせていただいてもよろしいでしょうか」(モフモフのお腹を撫でるとリラックス効果があるので自分にとって利益がある。猫様にとっては煩わしい)。
詳しくは、マイナビニュース「させていただきます」は正しい? 正しくない?をご参照ください。

よって、正解は1です。


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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題4は【直示(deixis)】です。

ダイクシスは何度か試験に出ていますが、今回は違う名称「直示」を使ってきました。このように本試験では、同じ意味の用語を異なる名称で出してくることがありますので要注意です。

問1
直示(ダイクシス)とは、発話された場面によって意味が決まるものです。
1,「翌週」という言葉は、発話された場面で使うことができません。過去や未来に視点を置いたときにつかう言葉です。
例…翌週は会社を休むよ。☓
  来週は会社を休むよ。○

2,「あした」は、発話された場面によって意味が決まります。10月14日に発話されれば10月15日のことです。

3、「2013年」は、いつ発話されても2013年なので、直示ではありません。

4,「6分間」は、いつ発話されても6分間なので直示ではありません。

よって、正解は2です。


問2 談話における表現や内容を指す「談話の直示」の例を選ぶ問題です。
1,「それ」が、談話における表現である「今回の失敗はあなたのせいだ」を指しているので、談話の直示です。
2,「その」は、現場の青いのを指しています。「場所の直示」です。
3,「あの」は、若かった当時を指していますが、妻の談話における表現や内容に、若かった当時は含まれていません。夫が勝手に過去に思い出にふけっているだけです。「あの頃」で「時間の直示」です。
4,「あれ」は、まえに食べに行ったものを指していますが、同僚の談話における表現や内容に、まえに食べに行ったものはでてきません。
よって、正解は1です。


問3 ある直示表現が別の直示表現として使われる例として不適当なものを選ぶ問題です。
1,「そこのかたどうぞ」の「そこ」は場所を指しているので「場所の直示」です。「あなたどうぞ」は人を指しているので「人称の直示」です。「次のかたどうぞ」は「次」という時間を指している? うーん。
具体的に考えてみます。例えばラーメン屋の行列における「次のかたどうぞ」の「次」とは、行列の順番のことを指しています。本来、「次」は時間的なことを指すので「時間的直示」なのですが、ラーメン屋の店員が「次の方どうぞ」と言った場合は、ラーメンの行列を指しているので、「談話的直示」になります。ということでしょうか。難しいですね。問2の選択肢のように、「談話における内容や表現」のこの部分を指していると明確にはいえないので、「談話直示」ではなく「談話直示(談話っぽい直示)」ということなんだと思います。

2,「」とは、二つのものにはさまれた、あいている部分(大辞林)ですから、「この間は」は本来「場所の直示」のはずです。しかし現在では「この間」といえば、今より少し以前の時間を指すことが多いです。本問でも「時間の直示」として使われています。

3,「あちら」は本来「場所の直示」ですが、ここでは、山田課長という人を指しているので、「人称の直示」として使われています。

4,「お前」は本来「人称の直示」です。ここでは話し相手を指しているので、「人称の直示」として使われています。

よって、正解は4です。


問4
1,日本語では、役職語が呼称表現として使用されることがあります。同じように英語、中国語、韓国・朝鮮語においても役職語が呼称表現として使用されることがあります。
(英語の例)「ドクター!」
(中国語の例)「老师!」
(韓国語・朝鮮語の例)「선생님(ソンセンニム)!」


問5 誤用の原因が直示に関わらない例を選ぶ問題です。
直示(ダイクシス)とは、意味が発話された場面に依存する言葉です。
1,「来る」という言葉は、話し手に近づくことであり、逆に話し手から遠ざかる場合は「行く」といいます。つまり、発話された場面に意味が依存しているので、直示です。「行く」とすべきを「来る」にしているので、誤用の原因が直示に関わっています。

2,「いらっしゃいますか」が正しいです。敬語の活用を間違っているので、誤用の原因が直示に関わらない例です。

3,「人称の直示」である「この方」を使うべきなので、誤用の原因が直示に関わっています。

4,「時間の直示」である「昨日」の後に「ニ格」はいらないので、誤用の原因に直示が関わっています。

よって、正解は2です。


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平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題5は【初級中期クラスの授業〈動詞の可能形〉】です。

問1 文型練習(パターン・プラクティス)をする時の一般的な留意点として不適当なものを選ぶ問題です。
4,文頭から単語を区切って発話させると母語話者のような発音になりません。文型練習では、母語話者並みの正確で素早い反応を要求します(ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』168頁)。
よって、4が正解です。


問2 変形練習をするにあたって、変形すると可能形の意味がほかと異なるものを探します。
1,図書館で2週間本を借ります。→図書館で2週間本を借りられます。
2,空港でお土産を買います。→空港でお土産を買えます。
3,鈴木さんは英語を上手に話します。→鈴木さんは英語を上手に話せます。
4,駅前に車を止めます。→駅前に車を止められます。
1,2,4の元の文は、動作を行おうとしているのに対し、可能形の意味は「できる」ことを示しているだけで、実際にその行為をするのかは分かりません。
3の文は、元の文も可能形の意味も「できる」ことを示しています。
よって、正解は3です。


問3 可能形とともに練習しておくとよい表現として不適当なものを選ぶ問題です。
可能形と相性の悪い表現を選びます。
1,「あまり」できない、「少し」できる、可能形と馴染みます。相性いいです。
2,「しか」できません、「だけ」できます、可能形との相性はいいです。
3,「どころか」できません、「ばかりか」できません、可能形と相性悪いです。
4,「ので」できます、「(すぎ)て」できません、可能形と馴染みます。
よって、正解は3です。


問4
4,タスク練習は、インターアクション(やり取り)における意味交渉によって習得を促進する手段(『研究社日本語教育事典』70R)なので、会話をすぐに止めるのではなく、学習者間のやり取りの中で誤りが修正されるのを見守ることも大事ではないでしょうか。
よって、正解は4です。


問5
 学習項目である「歌が歌えます」のフレーズを学習者が使えるような質問をすべきです。各質問によって、どんな答えが期待できるか確認します。
1,Bさんは何ができますか→Bさんは歌が歌えます
2,Bさんは何をしますか→Bさんは歌を歌います。
3,誰が歌を歌いますか→BさんとCさんとDさんです。
4,歌が歌えるのは誰ですか→BさんとCさんとDさんです。
よって、正解は1です。
 

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