日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

カテゴリ:平成26年度日本語教育能力検定試験問題の解説 > 試験Ⅲ

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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11は【米国で英語を母語として生まれ育ったスミスさん、日本の大学で学ぶ】です。

問1
文化相対論では、文化に優劣はないと考えます。
よって、4が正解です。

一方、自身の属する文化の価値を基準に、他の文化を判断することをエスノセントリズム(自文化中心主義、自民族中心主義)といいます。
エスノセントリズムのうち、
異文化に対して自文化優位の意識を伴ったものを強いエスノセントリズム
異文化に対して自文化優位の意識を伴わないものを弱いエスノセントリズム
といいます(増補版 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集 237頁)。


問2
エポケーとは、判断を留保することです。決めつけないことです。
1,判断してます。
2,判断してます。
3,相手の言ったことを繰り返しているだけなので、判断していません。まさにエポケーの手口です。相手の言うことを繰り返すことで、相手は自分の気持を整理できるらしいです。
4,共感という気持ちを示してますので、判断を留保していません。
よって、3です。


問3 言語学習ストラテジーのうち、メタ認知ストラテジーの例を選ぶ問題です。
学習ストラテジーについては、ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』261頁に詳しい説明があります。
学習ストラテジーは、毎年のように出題されていますので、超重要キーワードです。関連する知識を確実に理解しておく必要があります。
平成23年度 日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11の問2
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題10
平成27年度 日本語教育能力検定試験Ⅰの問題10の問5

学習ストラテジーは以下の2つに分けられます。
言語学習ストラテジー言語学習に用いる。
コミュニケーションストラテジーコミュニケーションを成立させるために用いる。

言語学習ストラテジーは、以下の6つに分けられます。

○直接ストラテジー…学習に直接関わる。
1,記憶ストラテジー…語彙や文法を覚える手段
例…年号を語呂合わせで覚える。
  日本語と母語の似ている部分を結びつけて覚える。
2,認知ストラテジー…学習する方法
例…メモを取る。
  重要な語に線を引く。
  知らない語を辞書で調べる。
3,補償ストラテジー…知識不足を補う手段。
例…未習語の意味を文脈から推測。

○間接ストラテジー…学習を間接的に支え、習得のための条件を整える。
4,メタ認知ストラテジー…学習を管理する手段。
例…目標を決めて授業にのぞむ。
  予習して授業にのぞむ。
  学習目標と達成期限を設定する。
  効果的な勉強法や教材に関する情報を収集する。
  スピーチ本番の前に録音して、出来をチェックする。
  書いた文章を自分で読み返して、間違いを修正する(復習)。
5,情意ストラテジー…情意面を調整する手段。
例…自分を褒める。
  クラシック音楽を聞いてリラックスする。
6,社会的ストラテジー…学習に関して他者と関わる。
例…分からないところを先生や友達に尋ねる。
  成績の良い同級生からアドバイスをもらう。 
  聞き手の反応に配慮する。
  日本語だけでなく日本の社会や文化についても吸収するよう努力する。


選択肢1は、相手に確認しているので、社会的ストラテジーです。
選択肢2は、自分を褒めているので、情意ストラテジーです。
選択肢3は、日本語と母語を対照し、類似点や相違点を分析するという学習方法なので、認知ストラテジーです。
選択肢4は、誤りの原因を考え、なくすように学習を管理しているので、メタ認知ストラテジーです。

以上より、正解は4です。



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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題11は【スミスさん、対人関係や日本語学習に行き詰まりを感じる】です。

問4
1,エンパワーメントとは、自信を与えること、力をつけてやること、自己決定する力の獲得、社会を変えようという意欲を持たせること、本来持っている生きる力を湧き出させること、など。『増補版 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集』237頁には、『エンパワーメントは、自分の内なる力や可能性を全面的に発揮できるような環境や人間関係を構築していくこと』とあります。
2,ラポールとは、 二人の間にある絆、信頼関係。
3,シンパシーは、共感。
4,フォロワーシップは、リーダーを補佐する能力。
よって、正解は2です。


問5 アサーティブ・コミュニケーションの例を選ぶ問題です。
アサーティブ・コミュニケーションでは、自他ともに尊重しつつ、互いに意見を述べ合います。
詳しくは、日立ソリューションズのウェブサイトをご確認ください。
もっとも本問では、下線部E(異なる意見を持つ相手に対して、攻撃することも卑屈になることもなく自分の考えを伝える)がありますので、意味を知らなくても解けます。 アサーティブ・コミュニケーションという用語に惑わされる必要はありません。
3,「異なる意見を持つ相手に対して、」「自分の考えを伝える」には、「はい」「いいえ」で答えられる質問形式だけでは不十分でしょう。また、「攻撃することもなく卑屈になることもなく」伝える方法と、「はい」「いいえ」で答えられる質問形式は関係がありません。
よって、正解は3です。

 

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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題12は【文化によって好まれる会話スタイルは異なる】です。

問1
日本語の会話の特徴は、共同発話だと言われています。共同発話とは、話者全体で一つの発話を作り上げることです。一方、英語など多くの言語では、相手が言い終わってから自分の順番(ターン)が来るという話者交代の規則に忠実です。
岡本佐智子著『日本語教育能力検定試験に合格するための社会言語学10』の96頁に詳しい説明があります。

制度的談話制度的会話)とは、問題4で出てきた教室談話裁判の審理など、制度的な場面での談話のことで、誰がいつ話すのか決まっている場合が多い、どのような発話をするのか決まっている場合が多い、達成すべき課題がある場合が多い、などの特徴があります。

関連性の公理は、協調の原理の4つの公理の一つです。
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題11でも問われていますので、要チェックです。
1,量の公理…多すぎても少なすぎても駄目。
2,質の公理…嘘や根拠なしは駄目。
3,関連性の公理(関係の公理)…関係ないことは駄目。
4,様式の公理…曖昧は駄目。
アルクの『日本語教育能力検定試験に合格するための社会言語学10』の121頁に、会話が4つの公理のどれに違反しているか選ぶ問題があります。

以上より、正解は3です。


問2
日本語の特質=高コンテクストは、平成27年度 日本語教育能力検定試験Ⅲ 問題4の問5でも出題されています。
高コンテクストと低コンテクストの違いは、平成23年度 日本語教育能力検定試験Ⅲの問題12の問5でも出題されています。
出題頻度が高いので、高コンテクストと低コンテクストは超重要キーワードです。
正解は1です。

罪の文化といえば、欧米です。
恥の文化といえば、日本です。

詳しくは、安藤邦男『罪を意識する英米人、恥を意識する日本人』をご確認ください。



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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題12は【文化による会話スタイルの違い】です。

問3
1,明確化要求は、試験Ⅰの問題8に出てきた意味交渉の一つで、相手の発言が不明確なときに明確にするよう要求すること(聞き返しの一種)です。
2,割り込みは、現話者の発話の途中で聞き手が発話することです。
3,ターンの保持は、話す順番を譲らないことです。
4,オーバーラップは、話し手と同時に発話することです。
研究社日本語教育事典の142頁に『聞き手行動』という項目があります。それによると、
聞き手行動には、
①相づち
②聞き返し
③オーバーラップ
④割り込み
⑤フィードバック
などがあります。

以上より、ターンの保持は話し手の行動なので、正解は3です。


問4
リペア(修復)とは、発話の途中で、すでに述べた発言を修復する行動(研究社日本語教育事典の157頁より)。
1は、すでに述べた発言「先週見ます」を、「先週見ました」に修復していますので、リペアです。
よって、1が正解です。


問5
1,聞き手の役割に徹していたら、「何も話すことがないのか」「話に参加しないってことは興味がないってことなのか」などと思われて「不利な評価を受ける」可能性があるでしょう。また、1のようなパターン・プラクティスでは、実際の会話で応用するのは難しいでしょう。
よって、1が正解です。
 
 

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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題13は【やさしい日本語と緊急時支援における言語的問題】です。

問1
旧日本語能力試験の出題基準で採用されていた語彙と漢字の数は以下のとおりです。
    語彙   漢字
4級    500語  100字
3級 1,500語  300字
2級 3,000語  600字
1級 6,000語  1,000字

よって、正解は2です。


問2
弘前大学人文学部社会言語学研究室のウェブサイトに解説があります。
どちらの表現が簡単か、という観点から解くことができます。
1,「揺れる」という動詞が「揺れ」と名詞化してしまっているので、難しくなっています。
2,「使える」は「使う」の可能動詞形からきている言葉なので、応用です。「使うことができる」の方が簡単です。
3,「できる」を二重否定しているので難しくなっています。
4,「〜しましょう」には勧誘の意味もあるので、「〜してください」のほうがわかりやすいです。
よって、正解は2です。


問3
「やさしい日本語」作成のためのガイドライン〈増補版〉の8頁に答えがあります。
選択肢のうちで、「災害時によく使われる」ので、言い換えるだけでは不十分であり、意味を教えたほうが良さそうな語を選びます。
余震です。
よって、正解は3です。


問4
「やさしい日本語」版 災害基礎語彙100の※4に解説があります。
正解は4です。


問5
現地の方言が分からず医療活動に支障を来す」ということなので、現地の患者の言葉だとわかりますので、選択肢の2か4です。
依頼表現とオノマトペ、どちらが方言が多いでしょうか、どちらが医療活動従事者に対して使うでしょうか。
症状を伝えるのに使うのでオノマトペではないか、と推測できます。
よって、正解は2です。
以下のウェブサイトもご参照ください。

マイナビニュース 東北弁はオノマトペも独自路線! その意味を伝える「用例集」も登場!?

国立国語研究所 東北方言オノマトペ用例集


 

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