日本語教育能力検定試験問題の解説

日本語教師になるには過去問です。大学で日本語教育課程を専攻していない人が日本語教師になるには①日本語教師養成講座420時間コース受講か②日本語教育能力検定試験合格です。独学でも日本語教育能力検定試験に合格できます。日本語教育能力検定試験では似た問題が繰り返し出題されるので日本語教師になるには過去問に慣れることが大事です。本ブログではH23以降の日本語教育能力検定試験を分かりやすく解説しました

カテゴリ:平成24年度日本語教育能力検定試験問題の解説 > 試験Ⅰ

Sponsored Link

試験Ⅰの問題1は例年どおり、他と性質と異なるものの五肢択一です。

⑴ は【声帯振動】です。
1,[ɸ]無声両唇摩擦音
2,[ ɲ]有声硬口蓋鼻音
3,[ts]無声歯茎破擦音
4,[ɕ]無声歯茎硬口蓋摩擦音
5,[k]無声軟口蓋破裂音
選択肢のうち、2だけが有声音なので、正解は2になります。


⑵は【二つの子音の調音法】です。
選択肢のうち、 1は破擦音と破裂音、2は破裂音(鼻音)と破裂音、3は破裂音と破裂音、4は破裂音と破裂音、5は破裂音と破裂音なので、正解は1になります。


⑶は【母音の無声化】です。
各選択肢を実際に発音してみると、選択肢5の最後、「しき」を発音するときに、声帯が震えていないことに気づきます。母音の無声化です。よって、正解は5となります。
母音の無声化のルールは複雑らしく、参考書を読んでも難しくて頭に入りません。そこで私は実際に発音して答えを出しています。でもよく考えたら、静かであろう本試験で選択肢を発音することなんてできるのであろうか。
致し方ないので基本ルールだけ、以下に書きます。

・母音が無声化する条件
1,[ i ][ɯ]が無声子音に挟まれている。
例:しき
2,[ i ][ɯ]が無声子音の後で、語句の終わり。
例:です。

他にも色々例外ルールがあるようですが、ややこしいので、私は上の二つのルールだけ覚えることにします。
今回の問題は1のルールによって解けます。


⑷は【漢語の構造】です。
選択肢はいずれも、前の語が後ろの語を修飾する関係になっています。
1…進む→路
2…予め→知る
3…晴れた→天
4…産まれた→地
5…造られた→花
このうち、選択肢1,3、4、5は修飾語(前の語)が動詞、被修飾語(後の語)が名詞になっています。
一方で、選択肢2は修飾語(前の語)が副詞、被修飾語(後の語)が動詞になっています。
よって、正解は2になります。

wikipediaの熟語(漢字)の熟語の構造と分類が参考になります。


⑸は【接頭辞と品詞の変化】です。
『はじめて学ぶ言語学』(下記参照)49頁によると、
否定を表す接頭辞は、名詞について『ナ形容詞』を作ることが多いそうです。
本問を見てみると、
選択肢1,2,3,4,は、接頭辞『不』を除くと名詞になります。
1…利益(『利益な』とは言わない)
2…注意(『注意な』とは言わない)
3…都合(『都合な』とは言わない)
4…規則(『規則な』とは言わない)
一方、選択肢5は、接頭辞『不』を除いてもナ形容詞になります。
5…満足な
よって、正解は5になります。

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

試験Ⅰ問題1 他と性質の異なるもの(五肢択一)の続きです。

⑹は【擬音語・擬態語】です。
選択肢1,2,3,5は、実際に鳴っている音を表現しているので、擬音語です。
選択肢4は、実際に音は(あまり)鳴っておらず、その様子を表現しているので、擬態語です。 
よって、正解は4になります。


⑺は【語義の変化】です。
選択肢1,2,3,5は本来の語義からプラスの意味に変化しています。
1…『健康』は良いも悪いもあるが、「とても健康だ」は『健康が良い』という意味。
2…『お天気』は良いも悪いもあるが、「明日、お天気だったら」 は『お天気が良い』という意味。
3…『ご機嫌』は 良いも悪いもあるが、「いつもよりご機嫌」は『ご機嫌が良い』という意味。
5…『評価』は良いも悪いもあるが、「海外で評価されている」は『評価が良い』という意味。
一方で、選択肢4は、本来の語義のままで、プラスの意味はありません。
よって、正解は4なります。


⑻は【動詞の自他】です。
選択肢1,3,4,5は、自動詞と他動詞の組合せになっています。
1…他・自
3…自・他
4…自・他
5…自・他
一方で、選択肢2はいずれも他動詞です。
『つなぐ』の自動詞は、『つながる』です。
よって、 正解は2になります。


⑼は【受身形】です。
選択肢2,3,4,5は受身形です。
2…いやされる→いやす
3…まかれる→まく
4…ひかれる→ひく
5…つられる→つる
選択肢1は受身形ではありません。
1…まぎれる→まぎるとは言わない。
よって、正解は1です。


⑽は【形容詞構文と格表示】です。
形容詞を述語にする場合、
1…に積極的だ。
2…と親密だ。
3…に申し訳ない。
4…に厳しい。
5…に詳しい。
となります。
選択肢1,3,4,5はニ格ですが、選択肢2はト格です。
よって、正解は2です。 

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

試験Ⅰ問題1 他と性質の異なるもの(五肢択一)の続きです。

⑾は【数量詞+「は」の意味解釈】です。
選択肢2,3,4,5の「は」は、数量詞が実際より控えめであることを意味しています。
2…(少なくとも)30歳は越えている。
3…(少なくとも)五つは食べられる。
4…(少なくとも)50人は入れるだろう。
5…(遅くとも)3時間は切るだろう。
選択肢1の「は」は、数量詞が実際より大げさであることを意味しています。
1…腹筋100回は(多すぎて)無理だ。
よって、正解は1です。


⑿は【「もう」の用法】です。
選択肢1,2,3,5の「もう」は『完了(すでに)』の意味です。
選択肢4の「もう」は『近い未来(まもなく)』の意味です。
よって、正解は4です。


⒀は【「よく」の用法】です。
選択肢1,2,3,4,の「よく」は『程度(ちゃんと)』を表しています。
選択肢5の「よく」は『頻度(頻繁に)』を表しています。
よって、正解は5です。


⒁は【「た」の用法】です。
選択肢1,2,3,4,の「た」は『発見』です。
選択肢5の「た」は『過去』です。 
よって、正解は5です。


⒂【「ずに」の用法】です。
選択肢1,2,4,5の「ずに」は『ないで』と言い換えることができます。
選択肢3の「ずに」は『なくて』と言い換えることができます。
「ずに」の前の文が、後ろの文の原因を表しています。
よって、正解は3です。 

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題2は例年と同じく、学習者の語用と異なる種類の語用です。

⑴は、 「ばなな」を【ばらら】と発音しているので、調音法の誤り(鼻音弾き音になっている)です。
選択肢1,2,3は、鼻音(ナ行)が、弾き音(ラ行)になっています。
選択肢4は、 破裂音(デ)が弾き音(レ)になっています。
よって、正解は4です。


⑵は、「忙しい」を【いすがしい】と発音しているので、[o]円唇後舌中母音 を[ɯ]非円唇後舌高(狭)母音に間違えています。
1は、 [ɯ]非円唇後舌高(狭)母音を、[ o ]円唇後舌中母音に間違い。
2は、 [o]円唇後舌中母音を 、[ɯ]非円唇後舌高(狭)母音に間違い。
3は、 [ɯ]非円唇後舌高(狭)母音を、[o]円唇後舌中母音に間違い。
4は、 [ i ]非円唇前舌高(狭)母音を、 [ɯ]非円唇後舌高(狭)母音に間違い。
よって、正解は4です。


⑶【彼の話は面白いだ】は、断定の助動詞「だ」の使い方を誤っていると思われます。
選択肢1,2,3の「だ」も断定したかったのだろうと思われます。
しかし選択肢4は、すでに起きたこと(広島へ行った)なので、その後の「だ」は断定ではありません。
方言でしょうか? 行っただ。
よって、正解は4です。
 

⑷ 【声が聞けません】は、『可能』の意味を表したかったものと思われます。正しくは【声が聞こえません】
1…1000円で映画が見えます→『可能』でしょう。正しくは【1000円で映画が見られます】
2… 小さい字は見られません→『可能』です。正しくは【小さい字は見えません】
3…いつも出身を聞こえます→『可能』ではありません。『受身』です。正しくは【いつも出身を聞かれます】
4…話を聞こえます→『可能』です。正しくは【話を聞けます】 
よって、正解は3です。
なお、可能動詞「見える」と「見られる」の違いは、
の27課に詳しくのっています。


⑸ は変化を表す「なる」と「する」の違いです。
下記のサイトが参考になりました。
変化を表す「なる」
変化を表す「する」 

「なる」は自然な変化を表し、「する」は行為者の意志が感じられる変化、だそうです。

1は、大きいです→大きくなりました。「なる」です。
2は、増加です→増加しました。 「する」です。
3は、高いです→高くなりました。「なる」です。
4は、便利です→便利になりました。「なる」です。
よって、正解は2です。 

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

Sponsored Link

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題3のAは【動詞の活用と音韻規則】です。

⑴は、辞書形は同音異義でも活用の種類が異なるため過去形などの形が異なる動詞を選ぶ問題です。
1の「切る」はラ行五段活用で、過去形は「切った」
  「着る」は上一段活用で、過去形は「着た」
2の「植える」「飢える」は下一段活用で、過去形は「植えた」「飢えた」
3の「避ける」「裂ける」は下一段活用で、過去形は「避けた」「裂けた」
4の「要る」「炒る」 ラ行五段活用で、過去形は「要った」「炒った」
よって、正解は1です。


⑵は、 選択肢から適当な言葉を選ぶ穴埋め問題です。

1…異音とは、同じ音素が発音される際のバリエーションのこと。
例えば、
音素/s/の異音は[S][θ]
音素/r/の異音は[ r ][ ɾ ][ l ]

2…特殊泊とは、撥音[ン]/N/、促音[ッ]/Q/、長音(引く音)[ー]/R/のこと。

3…同じ意味・機能を持つ形態素が環境によって異なる形態になる。これを異形態という。
例えば、
酒{sake}という形態素は、/sake/の他に、/saka/(酒屋)、/zake/(甘酒)になる。

4…母音で終わる音節を開音節、子音で終わる音節を閉音節という。日本語はほとんど開音節ですが、「本」/hoN/のように撥音・促音を含めば、閉音節もある。

問題文を見てみると、/-ta/と/-da/は過去を表す異形態です。
よって、答えは3になります。

なお、各単語の定義は、日本語教育能力検定試験に合格するための用語集


⑶ と⑷は過去形における/ta/と/da/の使い分けです。問題文にあるとおり、使い分けのルールを知っていれば、そのまま解ける問題です。
知らない場合、⑶は以下の流れで解くことができます。
問題文を読むと、
一段活用と不規則活用をする動詞では常に/-ta/が現れる」とあるので、実際に考えてみる。
例えば、 ⑴の問題にも出てきた下一段活用の「飢える」
飢える/ue ru/→飢えた/ue ta/ 
語幹の末尾が母音なので、選択肢2か3になります。
(一段活用は語幹の末尾音が[i]か[e])
次に、不規則活用の「来る」「する」
来る/k uru/→来た/k ita/
する/s uru/→した/s ita/
語幹の末尾が無声子音なので、正解は2になります。

⑷は、語幹の末尾が有声子音なのに/-da/ではなく/-ta/になる動詞を考えます。
例えば「分かる」
「分かる/wakaru/」の語幹を探すために、活用形を考えます。
「分からない/wakaranai/」「分かります/wakarimasu/」「分かる/wakaru/」「分かれば/wakareba/」「分かろう/wakarou/」
変わらない部分は/wakar/なので、/wakar/が語幹であり、語幹の末尾[r]は有声子音です。
ところが過去形は、/wakarida/とはならず、/wakatta/になります。
促音便です。
よって、正解は1になります。

ついでに、
語幹の末尾が有声子音の場合の過去形は/-da/
という原則も考えてみます。
例えば「嗅ぐ」
「嗅がない/kaganai/」「嗅ぎます/kagimasu/」「嗅ぐ/kagu/」「嗅げば/kageba/」「嗅ごう/kagou/」
変わらない部分は/kag/なので、/kag/が語幹であり、語幹の末尾[g]は有声子音です。
しかし過去形は、/kagida/にならず、/kaida/になります。
イ音便です。

さらに他の動詞も考えます。
例えば「飛ぶ」
「飛ばない/tobanai/」「飛びます/tobimasu/」「飛ぶ/tobu/」「飛べば/tobeba/」「飛ぼう/tobou/」
変わらない部分は/tob/なので、/tob/が語幹であり、語幹の末尾[b]は有声子音です。
しかし過去形は、/tobida/にならず、/toNda/になります。
撥音便です。

以上より、過去形/-ta/と関係が深いのは、促音便。過去形/-da/と関係が深いのは、イ音便と撥音便ということが分かります。
なお、選択肢3の連濁は、前要素と後要素が連なるとき、後要素の先頭が濁音化する現象のことです。
例…本棚「ほん」+「たな」→「ほんだな」
選択肢4の連声(れんじょう)は、 前要素末尾のn,m,tが、後要素のア行音、ヤ行音、ワ行音に影響し、タ行音、ナ行音、マ行音が生じる現象。
例…因縁「いん」+「えん」→「いんねん」 

スポンサードリンク


日本語教育に関するブログ にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村

↑このページのトップヘ