研究社 日本語教育事典 

アクセス解析の検索キーワードを見ていたら、
『位相語と方言 違い』
というフレーズで当サイトに辿り着いた方が何人かおられました。
しかしながら私の記憶が確かであれば、位相語と方言の違いを説明したことはなかったと思いますので、他の似ている言葉と合わせて、ここであらためて解説したいと思います。


方言とは、話し手の属性による言語変種。地域方言社会方言があるが、一般的には地域方言を指す(研究社日本語教育事典130頁L)。

地域方言とは、地域差に基づく言語変種(研究社日本語教育事典130頁R)。

社会方言とは、年齢、性差(gender)、職業、階級など社会的な属性に基づく言語変種(研究社日本語教育事典130頁R)。
例…幼児語、若者言葉、老人語、

集団語とは、ある集団の特徴的な言葉。専門用語や隠語(研究社日本語教育事典130頁R)。
例…警察用語で犯人のことをホシと言う。

役割語とは、「そうじゃ、ワシは天才なんじゃ(老博士言葉)」「よろしくってよ(お嬢様言葉)」「違うアル(中国人言葉)」など、特定の人物像に結びつく話し方。実在の博士、お嬢様、中国人がそのような喋り方をしているとは限らない。ステレオタイプの一種。

位相とは、性別や年齢等の属性の違い、職業、地域等の所属の違い、話し言葉と書き言葉等の使用条件の違い、対話している状況や相手等の使用環境の違い等、様々な要因によって用いる言葉が異なること。位相の違いによって変わる語を位相語という(研究社日本語教育事典210頁R)。
性別の違いによる位相語の例…男:「おれ」「めし」、女:「わたし」「ごはん」
職業の違いによる位相語の例(集団語)…医者:「オペ」、警察「ホシ」
年齢の違いによる位相差の例(社会方言)…若者言葉:「マジきもい」
地域の違いによる位相語(地域方言

ということは、位相語は、方言を含めたより広い言葉の違いを意味する語といえそうですが、位相語に地域方言を含めない学者もいるようです↓

『田中(1999:9-10)は、位相を社会的位相(性別、世代、身分、職業、社会集団等によるもの)、様式的位相(文体、伝達様式、話し言葉と書き言葉、場面や相手等の差異によるもの)、心理的位相(忌避、美化、仲間意識、対人意識等の心理によるもの)の3つの観点から捉え、これらが重層的に作用して位相差がもたらされると述べている。但し、田中は方言のような地域差や、明治時代語のような時代差は位相に含めていない』(研究社日本語教育事典210頁R、211頁Lより)

つまり、社会方言は位相語に含まれるが、地域方言は位相語に含める人と、位相語に含めない人がいる、ということのようです。

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