平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4は【外国語教育・日本語教育の教授法】です。

問5
1,ナチュラル・アプローチは、スペイン語教師テレルが、幼児の母語習得過程を参考に、応用言語学者クラッシェンのモニター理論を応用して提唱した聴解優先の教授法。習得のほうが学習より優れていると考えます。学習目的・到達目標や使用教材はコミュニカティブ・アプローチと共通です。指導法は独特で、教師が学習者に適切なインプットを口答で与え、その後学習者のリラックスした状態を保つため、簡単な応答練習を行います。
利点は、学習者に理解可能な大量のインプットを提供できること、過度の緊張がないこと。
欠点は、教師の発話が多くなりがち、チャレンジングな発話練習がないこと。
ナチュラル・アプローチの理論的背景については、平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題4問3で問われています。要確認でございます。

2,トータル・フィジカル・レスポンス(TPR)は、心理学者アッシャーが提唱した聴解優先の教授法で、幼児の母語習得過程を理論的基板としています。ジェスチャーを中心とした身体運動を用いることが特徴です。教師の口答による指示通りに学習者は身体を動かすことによって理解を示します。
利点は、聴解力を集中的に伸ばせること、発話のプレッシャーから解放されること。
欠点は、(サイコロジカル・メソッドと同じく)身体を動かすのが幼稚に映るので学習者によっては抵抗を感じること、動作にかかわらない表現を学習しにくいこと。

3,コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(CLL)は、心理学者カランがカウンセリングの理論を基盤に提唱した教授法で、カウンセリング・ラーニングとも呼ばれます。教師をカウンセラー、学習者をクライアント、教室を一つのコミュニティとみなします。知識のみならず、情意面の向上を学習目的とし、学習者の全人的な成長が到達目標です。学習の成功に必要な心理的条件として、安心感(Security)、注意力(Attention)、積極性(Aggression)、定着(Retention)、振り返り(Reflection)、識別(Discrimination)の頭文字をとってSARDと呼んでいます。
利点は、知りたいことをすぐに教えてもらえる、自由なコミュニケーションが楽しめる、自律的学習が組み込まれていること。
欠点は、教師の負担が大きい(カウンセリング理論への精通、学習者の全人的な受け入れ、高い指導力)こと。

4,サイレントウェイは、心理学者ガッテーニョが、認知心理学を理論的基板として提唱した教授法。学習者自らが言語規則を発見することが目的なので、教師はできるだけ沈黙し、サウンド・カラー・チャート(発音を色分け)、ポインター(指示棒)、ロッド(多色で様々な長さの棒)を使う。
利点は、学習者の自律性が尊重されることによって記憶が促進される、発話するのは学習者のみなのでリラックスできる、教師の動きを追わないと理解できないので集中して参加するようになること。
欠点は、特殊な教材の使いこなしが必須、少人数に限定、明示的な説明をしないため学習進度が遅くなりがちであること。
サイレント・ウェイの背景にある学習観については、平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4の問4で問われています。要確認です。
よって、正解は3です。


各教授法の説明は、ヒューマンアカデミーの完全攻略ガイド第3版(第2部 言語と教育)を参考にしました。

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